カレッジマネジメント187号
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41ような傾向の2015年3月卒においても、一部の企業における採用難が懸念される。従業員規模間のミスマッチは拡大視点を変えて、新卒採用について議論される従業員規模間のミスマッチについて触れたい。図表5の従業員規模別求人倍率を見ると、2013年卒までは300人未満の倍率が低下する一方、5000人以上の倍率が上昇し、規模間の倍率差は縮小し、2014年卒では前年よりも5000人以上の倍率がわずかに低下したが、ほぼ前年並みの倍率差であった。しかし、2015年卒において、300人未満の倍率は前年の3.26倍から4.52倍へ上昇した一方、5000人以上は前年0.54倍と同じ水準の0.55倍であり、倍率間の差は拡大に転じている。建設業、流通業の倍率が大幅上昇図表6には、業種別の求人倍率を示している。倍率は全ての業種において上昇しているが、特に顕著なのが建設業と流通業である。建設業は前年4.77倍から5.61倍まで上昇し、ほかの業種よりも高い求人倍率となっている。また、流通業は前年4.76倍から5.49倍に上昇し、比較可能な範囲で最高水準である2008年卒(7.31倍)ほどではないが高い水準となっているといえる。以上のように、大卒求人倍率1.61倍という値は、全体での求人倍率が上昇し、学生にとって求人枠が増加していることを意味するので、この点からみれば就職環境が整ってきているといえる。しかし、詳細を見ていくと、従業員規模別にも業種別にも格差は拡大しているという結果が示されており、必ずしも全ての学生にとって就職環境が良くなっているとはいえない。むしろ需要と供給のミスマッチによる課題について、引き続き取り組んでいくことが求められる。(倍) 図表6 業種別 求人倍率の推移 0 1 2 3 4 5 6 7 8 2015年 3月卒 2014年 3月卒 2013年 3月卒 2012年 3月卒 2011年 3月卒 2010年 3月卒 2009年 3月卒 2008年 3月卒 2007年 3月卒 2006年 3月卒 2005年 3月卒 2004年 3月卒 2003年 3月卒 2002年 3月卒 2001年 3月卒 3.48 1.35 0.37 0.44 0.49 0.40 0.35 0.35 0.35 0.37 0.39 0.35 0.21 0.20 0.19 0.19 0.18 0.22 0.44 0.45 0.44 0.45 0.50 0.61 0.72 0.75 0.67 0.48 0.47 0.42 0.41 0.54 1.69 1.62 1.59 1.63 1.93 2.33 2.64 2.64 1.97 1.66 1.35 1.27 1.37 1.31 1.59 1.66 1.53 1.59 1.96 1.65 4.49 4.39 4.69 4.49 5.29 6.38 7.31 7.15 4.66 4.14 4.17 5.04 4.95 5.32 4.77 5.61 3.94 3.73 4.76 5.49 サービス・情報業 金融業 流通業 製造業 建設業 建設業・製造業他 リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014

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