カレッジマネジメント187号
60/64

たエリアが増加する結果となった。「学生が居たくなるキャンパスを造りたかった」と語る高田キャンパス計画室長は、渋谷キャンパスをひとつの街と捉え、街に公園を配置するように学生の居場所を配置し、単なるオフィスビルのようなキャンパスとは一線を画すスタイリッシュで柔らかい空間を造った。都市型でありながら透過性が高く、高低差をつけることで広がりを感じさせるキャンパスは、入学生からも「友達を連れてきたい」と大好評。地上17階地下1階の館内には可動式の仕切りや最新のICT設備も取り揃え、アトリウム周辺の教室をガラス張りとし、否が応でも勉強に集中できる環境で、教員のモチベーションも上がっているという。もともと渋谷は学園発展の礎を築いた土地であり、都心回帰は「原点(学祖)回帰」の一環でもある。実践2019年に創立120周年を迎える実践女子学園では、その記念整備事業として2014年4月に渋谷キャンパスを開設した。大学の文学部・人間社会学部と短期大学部が渋谷で学び、日野では生活科学部が学ぶ2校地化となる。「人口減少トレンドに対抗するために、10年後・20年後に入学者を確保する生き残りをかけた移転」と井原理事長は語る。渋谷は社会交流と文化を学ぶ都市型キャンパス、日野は衣食住を学び、地域生活に根差した地域中核型キャンパス。移転を機に新しい実践女子の姿を目指す。学生募集上の効果は抜群だった。2014年度入試での志願者数は昨年の約1.3倍。広報上の新たな軸ができた相乗効果か、渋谷のみならず日野でも志願者が増加している。渋谷での志願者の出身エリアは千葉・神奈川など、日野への通学が難しかっ効率第一で造るとただのビルになってしまうところを、アトリウムを取り囲むように動線空間を配し、都市型のインテリアを備えたラウンジを造っている。アトリウムに面した教室はスケルトン。カラフルな椅子が透明な空間に映える。9階にあるカフェテリア形式のおしゃれな食堂。落ち着いた色味で構成された図書館。自習できるスペースのほか、腰かけるソファや椅子の数が多い。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です