カレッジマネジメント188号
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58リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014昨年就任した新顔の学長として、ある意味で客観的な目線で名古屋外国語大学を眺めた時、外国語大学として着実に成果を上げ、前進を続けているのではないかという好ましい印象を私は持っています。例えば、昨年度の就職決定率は97.8%(2014年3月卒業生)であり、企業も錚々たる顔ぶれです。とりわけ航空・旅行・ホテル業界に強く、キャビンアテンダント採用実績は中部地区1位でした(※1)。留学制度の充実にも非常に多くの力を注いでおり、「留学費用全額支援」制度を実現しています。これは留学先の授業料のみならず、居住費、渡航費、教科書代といった留学費用を全面的に支援する制度で、返還の必要はなく、対象人数の制限も設けていません。さらにこれを、一人が2カ国で実施できることを可能にする新たな留学制度も計画中です。これらはすべて長期にわたる経営努力を経て初めて可能となる制度ですが、これらの制度のおかげで、留学生派遣数も中部地区1位の実績を挙げています(※2)。さらに、もう一つ手前味噌を言わせていただくならば、本学は外国人教員が154人と非常に多く、外国人教員比率もまた中部地区1位です(※3)。例えば、学生3人に対して教員1人の「パワーアップチュートリアル(PUT)」という超少人数授業がありますが、そうした本学特有の教育システムに外国人教員の知恵とパワーがフルに生かされています。以上のような点には、本学の良き伝統が明白に表れているように思います。本学は1988年に開学した歴史の浅い大学ですから、何よりも「結果」を出すことに照準を合わせ、持てる資力をできる限り教育に投じるという方針を貫いてまいりました。立派な校舎よりは、立派な卒業生を作ろうと。そんな高いスピリットが、現在も本学のキャンパス中に満ちあふれているといえるでしょう。「心優しきグローバル教養人」を目指せグローバル社会で活躍する人材を生み出すという、かめやま・いくお氏1949年栃木県生まれ。1972年 東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業1977年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学1990年 東京外国語大学 助教授1993年 東京外国語大学 教授2007年 東京外国語大学 学長2013年4月より現職ロシア文学者でもあり、2002年に「磔のロシア―スターリンと芸術家たち」で大佛次郎賞、2007年に翻訳「カラマーゾフの兄弟」で毎日出版文化賞特別賞、プーシキン賞を受賞。2012年には「謎解き『悪霊』」で読売文学賞受賞。ドストエフスキーの新訳では、他に「罪と罰」、「悪霊」があり、現在は「白痴」の翻訳に取り組んでいる。「世界教養」を外国語大学の新たなスタンダードに名古屋外国語大学 学長亀山 郁夫

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