カレッジマネジメント188号
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60リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014リクルート進学総研では、2007年から、高校生の価値観、将来観、ライフデザインなどを聞く、高校生価値意識調査を実施している。今年度は2014年3月時点で高校1〜3年生だった進学希望者を対象に、インターネットを通じて4月に調査を行い、1438名から回答を得た。今年度調査の結果を述べる前に、まず、2007年から前回調査(2012年)までの、高校生の価値意識の変遷について振り返ってみたい。初回の調査を実施した2007年時点の高校生は非常に特徴的な世代だったといえる。日本では、2004年に文部科学省が「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」でキャリア教育の推進を提言し、小中高等学校においてキャリア教育が広まった。つまり、2007年時点の高校生は、キャリア教育を受け、将来の生き方・働き方を考えてきた最初の世代といえるだろう。一方、2002年度から実施されたいわゆる「ゆとり教育」を小中で受けた世代。折しも、SMAPの『世界に一つだけの花』がヒットしたのが2003年。まさに「ナンバーワンでなくオンリーワン」の世代だといえる。キャリア教育で「君の将来の夢は何か」「どんな職業に就きたいのか」を日々問われ続けてきた彼らの価値観図表1 高校生の価値意識の変遷牧田綾子 リクルート進学総研研究員シェアハウス型コミュニティ世代高校生価値意識調査20142007年夢の価値、暴騰やりたいことや夢がないと進学先が選べないという自分探し型の高校生が増加。2009年身の丈志向不況の中、夢を探している場合でなくなる。好きなことを仕事にし、人並みに暮らしたいという傾向へ。2012年大きな夢を追うよりライフ設計を重視。将来不安が深刻化する中、進路選択にもしたたかさが。2008年リーマンショック2011年東日本大震災アベノミクスオリンピック開催決定自分軸から他人軸へ〈報告〉リーマンショックとアベノミクスを経て生まれたバランス型価値意識景気悪化・社会不安で「夢」から「安定・保証」へ

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