カレッジマネジメント188号
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70三重大学2011年に大学設置基準が改正され、「大学は、生涯を通じた持続的な就業力の育成を目指し、教育課程の内外を通じて社会的・職業的自立に向けた指導等に取り組むこと」が明記され、就業力育成は大学教育の重要な課題となっている。各大学が活動の方向性を模索するなか、地域産業人材の育成や地域経済の活性化にもつながるような就業力育成の取り組みが注目されている。この連載では、産業界との連携や地元自治体との協働によって学生の就業力を高めることに成功している事例などを、積極的に紹介していきたい。今回は、「4つの力」を軸として教育改革に取り組み、「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」中部ブロックの幹事校でもある三重大学で、内田淳正学長と中川正教授(学長補佐、キャリア教育担当)に、お話をうかがった。三重大学は「感じる力」「考える力」「コミュニケーション力」、それらの総合力である「生きる力」の「4つの力」の育成を、教育目標に掲げている。これは大学としてどういう人材を輩出するかという目標であり、産業界の要請とは一線を画するものだ。一方で、内田淳正学長が就業力育成にあたって意識する課題は、社会が大学教育に求めるものの変化だ。「近年、企業の人材育成がリーダー層育成のための教育に変わってきて、基礎教育については大学でやってくださ就業力を育成する連載 ⑲キャリア・ピアサポーター制度で、学生中心の学びの場を創造い、ということになってきた。この変化に大学がどう対応していくかってなると、これから社会に出て行く人間としてどう生きていくか、という教養教育からスタートせざるを得ないと。それで三重大学としては教養の充実に力を入れることにしたわけです」。また、「教員ではなく学生こそが大学の中心」「学生をいかに元気にしていくか、それがいいキャリア教育につながる」とも内田学長は言う。「大学は教育じゃなくて学問をする場ですよ。教育とは教員側からのメッセージですよね、教え・育てると。でも大学は学生自身が学び・問う場ですよ。だから学生は自分たちが大学の中心であると思ってもいいはずなんですが、残念ながらそんなふうに誰も思っていないというところに一つ問題があると感じています」。4つの力スタートアップセミナーそこで三重大学は、教養の充実をはかるために、「教養教育機構」を発足させた。2年前から準備会で検討を進め、2014年4月に機構として発足。内部で15名が異動、常勤2名と特任・非常勤4名の新規採用を合わせて21名で、制度上は学部と同等の扱いでスタートした。新たな教養教育カ教養教育で4つの力を育成内田淳正 学長リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014

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