カレッジマネジメント189号
15/60

155000万円が用意された。入試緊急対策本部の答申は、入学から卒業後まで一貫して学生を支援するとの考えを含んでおり、現在のEMに通じる内容であった。この緊急対策方針に基づき、福島教授がEM室の専任教員として着任したのは、2007年7月であった。赴任後の初めの仕事は学生募集であったという。EM室の設置以前の山形大学では学生募集は学部別に行っていたが、EM室が中心的にコーディネートするかたちで、全学統一での学生募集へと改革を行った。「若手を中心とする職員に研修を受けさせ、入試アドバイザーとして本学に入学実績のある高校を訪問させた。山形大学の職員としての自覚を持たせるうえでも非常に効果があった」と小山学長は話す。2007年9月には、それまで学長直下であったEM室にEM担当理事が配置された。さらに2010年度概算要求事業、2013年度概算要求事業への対応等を契機として、EM室からEM部へ組織強化が図られていった。2014年4月には新学長及び新執行部体制への移行に伴い、EM部はEM企画課、入試課、社会連携課からなる3課体制に移行した。このうちEM企画課が、従来のEM室の役割を引き継いでいる(図表1)。山形大学におけるEM企画課(旧EM室)の業務について、福島教授は「一言でいえばマーケティング」であると話す。EM部のビジネス・システムは、①学生募集、②調査分析、(EMIR)、③卒業生のコミットメント醸成及び寄付募集の大きく3つに分けられる。具体的には、①では学生募集に関する戦略的なプランニングと運営がEM企画課の業務となる。②には、学生募集関連の諸調査、学生満足度調査、保護者・卒業生・企業調査等のプランニングと運営が該当する。③は、卒業生満足度向上のためのプランニングと運営、寄付に関するニーズ調査、在学中の満足度向上のためのイベントのプランニングと運営である。EM室発足当初は、全業務の6割を学生募集が占めていたというが、現在は調査分析や卒業生対応の比重が高まりつつある。中長期的には、IR機能のさらなる強化と、卒業生と大学の強い関係性の構築を図ることで、学生募集の比重を3割、調査分析を4割、卒業生向けの取り組みを3割とすることを目指している(図表2)。なお山形大学には、評価に関する全学的な情報の集約を担う組織である評価分析室が、EM部とは別に置かれている。評価分析室は、各種の外部評価への対応等を目的に、制度に則った情報収集が行われている。EM部との役割の違いについては「評価分析室は公表を前提にしたデータを集めているが、EM部は公表を前提としないデータの活用もしている」と福島教授は話す。大学が抱える課題に向き合うEM企画課の業務はマーケティングEM企画課の業務はマーケティングリクルート カレッジマネジメント189 / Nov. - Dec. 2014IR特集 戦略的意思決定を支える福島真司 EM部教授小山清人 学長図表1 山形大学EM部の沿革と発展室長1、室員2(業 務)入試対応ファクトブック大学情報DB財務改善計画調査統計総括オープンキャンパス 入試緊急対策教授1、室長1、室員3(業 務)入試対応ファクトブック大学情報DB財務改善計画調査統計総括オープンキャンパス 入試緊急対策入試広報入学者選抜調査研究校友会理事2、教授1、准教授1講師1、助教1、部長1、課長2、副課長1、係長2、主任1、係員2、事務補佐員4、校友会担当2(業 務)EM担当入試担当教育企画担当校友会担当総合的学生情報データ分析システム理事・副学長(EM担当)1EM部長1<組織構成>①EM企画課※旧EM室   ※総合的学生情報データ分析システム担当  教授1、講師1、  課長1、係長1、係員2、事務補佐員2  (工学部アドミッション担当教授1)【校友会事務局】  校友会事務局担当2、同左事務補佐員1②入試課  課長1、係長1、主任1、係員1③社会連携課   ※東北創成研究所・東京サテライト担当  教授3、准教授1、  副課長1、係長1、係員1、事務補佐員1  東北創成研担当2、同左事務補佐員1、  東京サテライト担当事務補佐員12006.7.1EM室設置2007.7.1事務組織改編教育企画部社会連携課2013.4.1新概算事業対応組織強化2010.6.1概算事業対応組織強化2007.9.1EM担当理事2011.4.1事務組織改編EM部へ2014.10.1人事異動2014.4.1新学長及び新執行部体制〈EM室〉〈EM室〉〈EM部〉〈EM部〉

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です