カレッジマネジメント189号
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33リクルート カレッジマネジメント189 / Nov. - Dec. 2014Testing)などをいれるか、複数回答とするかなどの案が出てきます。活用力を問われた時には、的確な情報を抽出したり、抽象化したり、組み合わせたりといろいろな力が試されます。あるいは、科学的なリテラシーや読解力、社会についてのリテラシーなども組み合わさると思います。例えば、国語の長文を読解し、英語の250ワード以内で要約しなさいという記述式にすると、文法や語彙など、英語のあらゆる力が分かるでしょうね。 こういうことを言うと、「作問と問題の蓄積をどうするのか」「50万人分の採点をどうやるのか」といった質問が必ず来るわけですが、日本のアドバンストテクノロジーを駆使すれば、近い将来には実現できると思います。それには、民間のノウハウとパワーを含め、みんなの知恵を結集しなければなりません。それは何のためかというと、20年後の若い人たちが幸せに暮らしていくためなのです。発展レベルと個別大学の入学者選抜の関係性小林 共通テストと個別大学の入学者選抜をどう位置づけるのか、大学関係者は非常に気にしている部分だと思いますが。安西 ペーパー入試に類する知識・技能の活用力テストについては発展レベルに任せて、個別大学の入学者選抜では、主体性・多様性・協働性を評価する方法に特化すべきというのがここでの考え方です。大規模私立大における入試の数や志願者は非常に多いので、知恵を絞らなければいけません。今、高校からの調査書や活動報告書について、多くの大学で実際には入学者選抜の判定に十分に使われているとは言い難いのではないでしょうか。こうした情報を将来を見据えてフォーマットも改め、活用できるような仕組みも必要です。そうなるとアドミッションオフィス、アドミッションセンターを充実していくことが必要になります。そうした面について国がサポートする必要性も議論しています。小林 入学者選抜は、その大学に入る準備ができているかどうかを見るものになってきますよね。そうなると、アドミッションポリシーも今までのように曖昧ではなく具体的に作ることが求められますね。安西 ええ。部会においては発展レベルのテストの成績基準をアドミッションポリシーの中に明示していく方向性で議論しております。本学部の受検資格は、「数学の評価A、英語の評価B…」など、学部・学科ごとに個別で示すことです。小林 最後に大学へのメッセージをお願いします。安西 20年後の世界をイメージしてみて下さい。受け身の教育から能動的な学習へ、入口から出口へ、考えを変えていって頂きたい。また、人生は一本線ではなく、複数の道があるのだということを、教える側が心から腑に落ちる形で認識する必要があります。そうでなければ、子ども達の未来は開けないと思っています。(文/本誌 能地泰代)※テスト名称については、その役割を明確化するために「達成度テスト(基礎レベル)」は「高等学校基礎学力テスト」、「達成度レベル(発展レベル)」は「大学希望者学力評価テスト」に名称変更が検討されている。(2014年10月10日中央教育審議会高大接続特別部会)INTERVIEW

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