カレッジマネジメント190号
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33生き延びるためではなく、変わり続ける社会のニーズに応えて存在価値を発揮していける大学であるために「常に未来志向であれ」というわけだ。神戸学院には、こうした初代学長が残した建学の精神や運営上のモットーが精神的支柱として生き続けている。それは、岡田学長の表現を借りれば「神戸学院のDNA」ということになる。キャンパス創設や今回の学部設置は、歴史的なDNAに根差した発想が結実したものだと学長は語る。「第二の誕生」としての新キャンパス創設確かに、神戸学院は現在も未来を見据えた大きな動きの中にある。過去10年におけるキャンパス整備と学部の設置・配置を整理したものが図表1だ。岡田学長は、2007年のポートアイランド(通称ポーアイ)キャンパス設置が神戸学院にとって「第二の誕生」だったと振り返る。大学にとって新キャンパスの開設は資金調達を含めた苦労が伴う半面、大きな転機にもなり得ることは想像に難くない。法人としても非常に大きな決断で、そのための議論には4年ほどを費やしたそうだ。ポーアイキャンパス誕生の一つの契機は薬学部の6年制化だった。6年制になれば4年制と比較しても単純に1.5倍の広さの施設が必要になる。従来の有瀬キャンパスでは不十分だったという。そこでポーアイキャンパスを設置して移転させることとなった。それを後押ししたのが神戸市による神戸医療産業都市構想だ。ポートアイランドはもともと神戸市が有する土地だ。2003年には国の先端医療産業特区にも指定され、その中心となるポートアイランドには多くの医療系の研究所・大学・企業が誘致された。神戸学院も薬学部の移転を打診されたという。しかし、ポーアイキャンパス開設は、法・経済・経営の各文系学部における教育体制にも大きな変化をもたらすことにもなった。教室等が手狭になっていたこともあり、これら3つの学部は1・2年次が有瀬、3・4年次がポーアイで授業を行うことになったからだ(図表1)。全学的な共通教育を重視する観点での措置だったが、その反面、学年の垣根を越えた合同ゼミのような授業が実施しづらいという課題も目立つようになったと岡田学長はいう。こうした課題を解消すべく、2015年4月のグローバル・コミュニケーション学部開設を機にキャンパスの再編が行われる。具体的には、法・経営学部をポーアイに、経済学部を有瀬に移転させ、学年によるキャンパス移動をなくして全学年同一キャンパスで学べるようにする。それだけではない。大学本部も来年ポーアイに移転し、翌2016年4月には附属高等学校のポーアイ移転も決まっている。今後、ポーアイキャンパスは神戸学院が高大連携を含めてこれまで以上に新たな挑戦を試みていく場になることは間違いない。キャンパス再編がもたらした成果こうして進められている大がかりなキャンパス再編は、実際にどんな成果をもたらしつつあるのか。その一つは志願者の増加だ。ここ10年間の志願者数の推リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015特集 学部・学科トレンド2015法学部経済学部経営学部人文学部総合リハビリテーション学部栄養学部薬学部有瀬キャンパス2006年度まで法学部(1・2年次)経済学部(1・2年次)経営学部(1・2年次)人文学部(1~4年次)総合リハビリテーション学部(1~4年次)栄養学部(1~4年次)法学部(3・4年次)経済学部(3・4年次)経営学部(3・4年次)薬学部(1~6年次)現代社会学部(2014年度設置)有瀬キャンパスポートアイランドキャンパス2007~2014年度経済学部(1,442人)人文学部(1,870人)総合リハビリテーション学部(680人)栄養学部(380人)法学部(1,780人)経営学部(1,242人)現代社会学部(800人)薬学部(1,500人)グローバル・コミュニケーション学部(2015年度設置、600人)有瀬キャンパス(収容定員4,372人)ポートアイランドキャンパス(収容定員5,922人)2015年度以降図表1 キャンパス整備と学部配置の推移※大学院については省略。また、収容定員は学部設置等の学年進行が完了した時点のものを掲載。

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