カレッジマネジメント191号
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24島根半島からたかだか60km北に位置する隠岐の島であるが、松江や境港からフェリーで約3時間の道程は本土と離島という関係にならざるを得ない。隠岐の島は、大きく2つに分けて島前(どうぜん)と島後(どうご)と呼称され、島後は1島であるが、島前は知夫里島、中ノ島、西ノ島から構成されている。これら4島を結ぶ交通手段は船である。こうした離島は、いわば日本社会が抱える課題の最前線にあり、少子高齢化、地域産業の衰退、若者の流出と負のスパイラルの加速化が著しい。2000年代からの急速な少子化で、島前高校の生徒数は減っていった。図表1から島前高校の入学者数をみると、1990年代は80名の定員に対してなんとか70名程度を維持していたが、2000年代に入ると50名、2006年には35名と急減し1学年2クラスから1クラスになった。さらに、2008年には28名にまで減少し、島根県の高校統廃合の基準である21名に迫った。「島から高校がなくなれば、子ども世代だけでなく、一家を挙げて島から出て行かざるをえません。すなわち、30歳代後半から40歳代後半の基幹労働力が失われ、こうして島を出て行った者は2度と島には戻りません。これは学校の存続問題以上に、島の存続問題です。地域の存続が高校にかかっていると言ってもよいでしょう。島に人を呼ぶ、そのためには島外から魅力あるとみられる高校にしないと、地域で学校を育てる"隠岐島前高校の挑戦"リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015高校事例隠岐島前高校隠岐島 島根県 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 14 13 12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 隠岐 島根県内 県外 (年) (人) 図表1 生徒数推移 76 59 47 49 53 53 44 42 35 32 32 36 2 21 59 33 26 26 28 28 7 24 59 23 3 19 45 40 4 8 34 28 33 35 42 46 49 48 67 70 71 68 60 77 1 1 1 1 1 1 1 3 5 1 1 2 迫る廃校の危機

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