カレッジマネジメント191号
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30リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015減少の要因には、2つのパターンがある。①自県出身者が減る場合と、②他県出身者の流入が減る場合だ。ここでは、それぞれを横軸/縦軸にとり、それぞれの傾向を見てみたい。2軸の数値が同じになる部分で領域を2分割すると、右下の領域が、自県出身者減少率が他県流入者の減少率を上回る都道府県であり(17県)、左上の領域はその逆となる(28県)。まず、自県出身者の減少率が他県からのそれを上回る、右下の領域(ブルー)から見ていこう。17の県のうち、大都市圏は1つも含まれておらず、比較的人口規模の小さい県が多い傾向がみられる。特に東北エリアに関しては、6県中、宮城県を除く5県が含まれている。なかでも2014年と比較して20%以上自県出身者が減少するのは、青森、福島、秋田、長崎、和歌山、山梨の各県だ。これらは18歳人口の減少率(2014年→2025年)が高い上位6県であり、その順位も同じである。特に全国でも大学入学者減少率がトップである青森県(23.0%)は、大学入学者に占める自県出身者の割合も全国11位(52.6%)と高く、かつ18歳人口の減少率も全国1位(27.1%)であることから、自県の残留に頼っている状況下で18歳人口が減少し、結果として全体の減少率が高くなっている例である。この領域にある県は、自県のマーケットそのものが縮小しているため、他県からの入学者をどのように確保していくかが課題となるだろう。一方、左上の領域(ピンク)には大都市圏が含まれているのが特徴で、数値的にも自県よりも他県からの流入が減る割合が高い。右下の領域とは異なり、全体的に18歳人口の減少率は低い。例えば大分県は、18歳人口の減少率は高いが大学入学者に占める自県出身者の割合が低いため、あまり影響を受けない。福岡県はその逆で、大学入学者に占める自県出身者の割合は高いが18歳人口の減少率が低い。全国で大学入学者の減少率が最低である(23.0%)沖縄県も福岡県と同じ傾向であり、自県出身者の比率が高い状況下で18歳人口はさほど減少しないという、前述の青森県とは対照的な例である。この領域に関しては、自県のマーケットもまだ残存するため、まずは地元からの入学者を確保したうえで他県からの流入も獲得していくことが重要となる。このように、一言で大学入学者数の確保といえども、各都道府県ごとに課題と対策は異なる。データをご参照のうえ、ぜひマーケット戦略に活用願いたい。5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 (%) (%) 0.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 -5.0 北海道 青森 秋田 岩手 長崎 鹿児島 新潟 山梨 和歌山 長野 愛媛 三重 鳥取 京都 大阪 岡山 広島 山口 香川 石川 宮城 福岡 神奈川 東京 埼玉 千葉 栃木 兵庫 大分 沖縄 滋賀 群馬 熊本 茨城 福井 奈良 富山 宮崎 徳島 高知 佐賀 山形 福島 静岡 岐阜 島根 愛知 北海道 東北 北関東 南関東(首都圏) 甲信越 北陸 東海 関西 中国 四国 九州・沖縄 他県出身者減少率 > 自県出身者減少率 全国平均12.4 全国平均14.3 ①自県出身者減少率が高い ②他県出身者減少率が高い 地元からの入学者確保が 大切な都道府県 自県出身者減少率 > 他県出身者減少率 地元だけでは 厳しい都道府県 図表3 都道府県別 大学入学者減少率(自都道府県高校出身者と他都道府県高校出身者の割合)地元からの入学者確保が大切な左上の領域地元だけでは厳しい右下の領域

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