カレッジマネジメント191号
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40リクルート カレッジマネジメント191 / Mar. - Apr. 2015介護業界は人手不足が言われて久しいが、ここには単純な数の問題だけではなく、構造上の課題もある。これまで介護業界は、社会福祉法人や医療法人を中心に専門職養成校の学生を採用するのが通例で、一般の学生を採用するという意識は低かった。しかし、高齢化の進行と2000年の介護保険制度開始による介護対象者の増加に対して就業者は十分には増えず、需給バランスが崩れている。なかでも、今では介護事業者の53.0%が民間企業による運営となっている(図表1)が、養成校は過去から付き合いのある社会福祉法人や医療法人への就職を学生に優先的に勧めることが多いため、民間企業が専門的な教育を受けた人材を採用することは難易度が高く、広く一般学生を募集することで就業者を確保している。ただ、それであっても業界全体の従業員の不足は補えておらず、介護事業者全体の56.5%が不足感を持っているというのが現状だ(図表2)。介護の考え方や技術の進化、ICT等設備の発達に対して、旧来からある施設は世の中の変化に追い付いていないという課題もある。以前は、ベルトコンベアー式とも言える画一的な介護で、起床時間も食事時間も皆同じというやり方が主流だったため、施設・設備もそのやり方に合うように造ってある。しかし、昨今では各人がどう生きていきたいか、どう暮らしたいかといった個別ニーズをきちんと理解したうえで対応する介護が中心になってきている。こういった現場のソフト面での進化に対し、ハードとしての施設・設備、経営者の組織運営が進化しきれていない介護業界の就業を支援するHELPMAN!JAPANが見る介護現場のリアルその他 0.9 地方自治体 1.1 社団法人・財団法人 2.2 協同組合(農協・生協)2.3 NPO(特定非営利活動法人)5.3 社会福祉協議会 5.9 医療法人 9.8 社会福祉法人 17.9 民間企業 53.0 図表1 介護福祉法人・事業所の経営主体 平成25年度 (n=7,808) (%) 大いに不足 5.7 不足感 56.5 過剰 0.5 不足 19.8 やや不足 31.0 適当 43.0 図表2 従業員の過不足の状況 出所:公益財団法人 介護労働安定センター「平成25年度 介護労働実態調査結果」より 平成25年度 (%) 転換期を迎える介護業界輩出人材と現場とのギャップ株式会社リクルートキャリア HELPMAN! JAPANグループ。1985年(株)リクルート入社。企業内教育研修の営業、企業向け組織人事コンサルティングを経て、1999年以降リクナビNEXTの立ち上げ等新たな人材マッチングサービスの開発・運営に携わる。2011年からHELPMAN!JAPANを担当。門野友彦HELPMAN ! JAPAN株式会社リクルートキャリアと株式会社講談社が共同で立ち上げた、日本の介護ビジネスを応援するプロジェクト http://helpmanjapan.com/お話を伺った方

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