カレマネ
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13リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015とに主眼がおかれている。いわゆる日本型雇用慣行のもとでは主役だった日本人・男性から、その役割を外国人、女性にも拡大するために、まずは目標を設定し、人材を登用し、風土改革につなげるという、順序を逆転した手法もとられている。日本企業が人材のダイバーシティを進めることは、それほどに難しいのである。第二の系譜は、非正規労働力の活用である。「多様な働き方」とは、派遣社員等、非正規雇用形態の拡大を意味することも多い。企業は競争力を高めるために、機動的で柔軟な人材活用を進め、その結果、非正規雇用率は4割近くまで上昇してきた(総務省「労働力調査」)。しかし、昨今、非正規雇用者の割合が高い飲食業やサービス業ほど、人材不足が深刻になっている。非正規労働は賃金等の労働条件が悪いことが多く、求職者から敬遠されてしまうのである。「モザイク型」の組織で成果をあげるこれからのダイバーシティ2025年にかけては、属性のダイバーシティから、価値観や制約等、深層レベルのダイバーシティに進めていく必要がある。特に、周辺的な仕事だけでなく基幹的な業務や役割を担う人材の働き方の多様性の担保と、そのような多様な働き方の個人が発揮するパフォーマンスを組織として最大化するインクルージョン(包摂)の実現が必要である。2025年にかけては、高齢化により、人口の2大ボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が団塊世代の介護メントが極めて重要になる。だが、リクルートワークス研究所「人材マネジメント調査」によれば、52.9%の企業が「マネジメントスキルの向上」を課題だと回答しており、多様な人材を活かした相互補完的な「モザイク型」の就労を実現するためのハードルが高い。このように、2025年にかけて企業は、人材の多様性、働き方の多様性をこれまで以上に高めざるをえないものの、それを支えるだけのマネジメントに進化できるかには疑問が残る。人材マネジメントの再創造は、今後10年の企業の大きな課題となっていくだろう。逆に働く個人からみれば、2025年にかけて、マネジメントの機能不全に直面するリスクが高まっていくともいえよう。に直面するようになる。男性の未婚率や女性の就業率が上昇しているため、介護の負担は企業で中核的な役割を担う男性にものしかかる可能性が高い。そのような、時間的、地理的、経済的な制約と両立する働き方が求められるわけだが、これまで非正規雇用は基幹人材の領域では浸透していない。また、労働時間に制約を持つ女性や、身体能力がかつてほどではない高齢者等、何らかの制約を持つ個人が職場に増えていくに伴い、同質的な人材を前提としたこれまでのマス管理は通用しなくなる。今後は、組織構成員それぞれの持ち味や制約を加味した、相互補完的な業務設計と、そのような多様な人材で高いパフォーマンスを発揮する人材マネジ特集 2025年の大学

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