カレマネ
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30らに2019年度入学生から全学生に課す構想を持っている。学長は特に「ハンズオン・ラーニング・プログラム」によって、学生が学習へのモチベーションを高め、タフになることに期待を掛けておられる。前述の地域連携プロジェクトの経験では、学生は、大人との交渉や調整で揉まれて強くなり、何らかの解を出すためには生半可な知識では太刀打ちできないことを身を以て体験するため、よく勉強するようになり、それも楽しんで勉強するようになると話される。こうした学習を全ての学生に経験させることで、学生の質の保証のボトムアップを図ることを目指している。卒業生を世界へもう1つの特色は、国連等へのゲートウェイの創設である。国連と連携した教育は20年ほどの経験があり、1997年から実施している国連本部での学生研修、2004年からの国連ボランティア計画と連携しての学生派遣(国連ユースボランティア制度)等を開始しており、2013年には「『国連ユースボランティア』派遣日本訓練センター」を設置、運営している。このように国際機関への人材輩出は様々に行ってきたが、それをさらに高めて大学院修士課程において、複数の研究科による共同プログラムとし、全科目を英語の授業で実施する「国連・外交コース」を2017年に開設を予定しているところに、他に例をみない特色がある。大学院であること、国連等の国際機関とターゲットを絞っていることから、このプログラムの恩恵にあずかる学生はそう多くはない。しかしながら、日本企業の海外展開を促進するグローバル人材もさることながら、日本が世界の中でプレゼンスを示していくためには、国際機関でグローバルな課題に取り組む人材の育成は重要である。意欲の高い学生に対する、大学院レベルでの少数精鋭教育を目指すところが特色といえよう。もちろん、これまでの国連での研修や国連ユースボランティアは継続し、それに加えて大学院開設と同時に2017年から学部の副専攻として「国連・外交プログラム」を設置し、大学院進学を目指す学生の増加を図っていくことも計画している。これは言い換えれば、学生の質をさらに高める教育の一環といってよいかもしれない。関西学院大学では、学内のその気風から卒業生の外資系企業への就職が多く、“Mastery for Service”というスクールモットーにもとづいたキャリア教育の強化へのシフトを行ってきた。確かに、大規模総合私立大学における就職率のトップを7年連続で維持しており、また、就職に強い大学としてのランキングにも上位にランクされている。しかし、これに甘んずるところなく、外資系企業への就職は引き続き強化し、さらには企業内ベンチャーやベンチャーを立ち上げるような資質を持つ学生の育成にも力を入れるべく、産学連携の研究会を実施しているという。それはひとえに、世界と戦える人材を育成することを証明してこそ、さらに資質の高い入学者を獲得できるからだという戦略なのである。教学とキャリアセンターとの共同による全学的なキャリア教育やインターンシップは既に2005年より開始しているが、「スーパーグローバル大学創成支援」に採択され、従来の蓄積の上に、さらに学生の進路を世界に焦点化しての取り組みである。世界に通用する学生をいかに育成できるか、学長の思いはここに収斂する。リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015図表3 関西学院大学「グローバル・アカデミック・ポート」構想「ダブルチャレンジ制度」と「国連・国際機関等へのゲートウェイ創設」

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