カレマネ
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リクルート カレッジマネジメント193 / Jul. - Aug. 2015特集 2025年の大学ができない理由は、2つの変化にある。第一の変化は、人口が増加から減少に転じたことだ。私達はこれまでにそのような経験をしていない。そのため、過去の延長で未来を想定するだけでは適切ではない。実際、人口減少により雇用機会が喪失するという仮説も、人口減少により人材不足が深刻化するという仮説も成立する。どちらがどれだけの現実味を持つか結論づけることは決して容易ないのである。インタビュー時に各界の第一人者から、「2020年は語ることができても、2025年は分からない」との意見が度々聞かれたのもこの証左だろう。2025年の「働く」は、このように今後の経済や労働需要の前提次第で、異なる様相を示す。そこで、このプロジェクトでは、3つの前提シナリオをもとに、2025年の労働市場を探索することにした。ではない。第二に、長く続いた経済停滞から復調の兆しがあるが、それが今後10年続く保証はない。むしろ、再び失速する可能性もある。雇用は経済の派生需要のため、2025年の経済の見立てなくして、「働く」ことだけを予測するのは、誠実な態度ではない。2015年現在、このように2つの構造的な反転が起きており、2025年にかけて、その反転の影響を断定でき最初に、仕事に就く確率や失職する確率がこれまで同様に推移するベースシナリオのシミュレーション結果を紹介しよう。まず、就業者は2005年の6356万人から、2015年には6274万人、2025年には6091万人と減少する。一人当たり所得の平均も、2005年から2025年にかけて、370万円、355万円、341万円と減少する(図表1)。就業者、所得ともに減少するため、就業者と所得をかけあわせた日本全体の労働総所得も、2005年から2015年にかけて235兆円から223兆円に5.1%減少し、さらに2015年から2025年に208兆円と6.7%減少する。労働総所得を社会の経済活性化の指標とみなすと、日本は2025年にかけて活力を失い、衰退する。図表1 経済規模2025年 2015年 2005年 235兆円 370万円 6356万人 355万円 341万円 6091万人 6274万人 223兆円 208兆円 総所得 就業者数 1人当たり所得 図表2 就業者数3966 2491 2432 2455 2448 2689 2730 2736 4014 3901 3850 3585 3493 3353 0 1000 2000 3000 4000 5000 2025年 2020年 2015年 2010年 2005年 2000年 1995年 (万人) 女性 男性 これまでの延長で起こる未来シナリオ1経済活力が低下する2025年

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