カレッジマネジメント194号
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37リクルート カレッジマネジメント194 / Sep. - Oct. 2015関東東海関西/知名度×志願度プロット分析ランクインしている大学の顔ぶれに大きな入れ替えはないが、公立の大阪市立大学が男女共に圏外からランクインしたほか、男子では一橋大学、女子では上智大学が新たに20位以内に入った。理系では、全体および男子において関西大学が昨年から順位を上げてトップに、そして理系女子では昨年に引き続き同志社大学が1位となった。顔ぶれの入れ替えとしては、男女共に筑波大学が、女子では武庫川女子大学、関西外国語大学が新たにランクインしている。知名度を縦軸に、志願度を横軸にとり、大学の分布を表したものを2015年と2010年で比較したのが図表21である。図表上、知名度が60%以上かつ志願度5%以上のブランド力が強い大学名を赤文字で表記しているが、対象校数は2015年、2010年共に10校と顔ぶれも含めて変化はない。ただし各大学のポジショニングを見ると、関西大学が知名度はそのままに志願度を下げ左側に移動、大阪大学と大阪市立大学が、知名度はそのままに志願度を上げて右側へ移動している。続いてゾーンごとの特徴を見てみたい。右上の、知名度も志願度も高いいわゆる「ブランド校」ゾーン(桃色背景)にいるのは全体の約4%でしかなく、知名度は高いが志願度はそれほど高くないゾーン(黄色背景)に8校約3%が存在する。ここには、京都大学のような超難関校や、東京大学、早稲田大学といった関東の有名校がプロットされる。そして残りの約93%が、知名度・志願度共に高くないゾーン(青色背景)に位置していることがポイントだ。つまり、関西においても他エリア同様に、調査を行った高校3年生の4月時点では、多くの大学が未だ高校生に認知も興味も持たれていない。さらに平均知名度が2010年の26.6%から2015年には23.3%へ、平均志願度も0.8%から0.7%へと下降しており、時系列で見てもこの時期の高校生の大学に対する認知や志願は低くなってきている傾向がある。各大学は、この知名度と志願度をここからどのように上げていくのかが募集戦略のキーポイントとなる。最後に、各大学の志願を形成する要素となりうる項目について、高校生が個別の大学にどんなイメージを抱いているのかを示したものが、図表22・23である。大学の“機能的価値”として32項目、“感性的価値”として15項目を聞いている。関西エリアでは全47項目中41項目で関西の大学が1位となっており、エリア外の大学の占める割合が低い。内訳を見ると、京都大学が最も多い24項目で1位を獲得しているが、残りの17項目の1位は6つの大学に分散しており、他エリアに比べて地元の大学の個性が差別化されてイメージされているようだ。近畿大学は、「学校が発展していく可能性がある」「活気がある」「学生生活が楽しめる」「親しみやすい」など、京都大学に次ぐ7項目で1位を獲得、大学に対するイメージの総量を増やしているように見受けられる。また、昨今学校選びの項目として注目される「就職に有利」「社会で役立つ力が身につく」「卒業後に社会で活躍できる」ではいずれも京都大学、東京大学、大阪大学、早稲田大学といった歴史と実績のある難関総合大学が上位を占めたが、ここでも近畿大学が順位を上げ、特に「社会で役立つ力が身につく」では4位に食い込んだ。「国際的なセンスが身につく」は、昨年に引き続き1位となった関西外国語大学を筆頭に、神戸市外国語大学、京都外国語大学、東京外国語大学など外国語大学が上位を占め、やはり高校生が国際=外国語というイメージを強く持っていることがうかがえる。その中で、関西外国語大学は今年「教育方針・カリキュラムが魅力的である」でも回答率・順位共に上げ、特に女子では京都大学・神戸大学に次ぐ第3位となるなど、外国語のイメージだけではなく、それをどのように身につけさせるのかという教育の中身まで高校生に伝えることができているように見受けられる。(本誌 林 知里、 鈴木 規子)特集 進学ブランド力調査2015イメージランキングイメージの総量を増やす近畿大学。国際のイメージは関西でも外国語大学に集中知名度×志願度プロット分析高校生の認知・志願が弱まる中、知名度と志願度をどう上げて行くかが募集戦略のポイントに

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