カレッジマネジメント195号
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33掲げたのが、「社会の変化に対応できる教育研究組織づくり」である。この組織の見直しを進めるに当たって、平成24年度から、各大学と文部科学省が意見交換を行い、研究水準、教育成果、産学連携等の客観的データに基づき、各大学の強み・特色・社会的役割を整理する「ミッションの再定義」を行った。この内容を踏まえ、文部科学省では、各分野における振興の観点を平成26年7月に提示し、各大学では、分野ごとの「ミッション」を踏まえ、学部・研究科等を越えて、人材や予算、施設・スペース等の学内資源を最適化する取り組みを進めて頂いている。文部科学省においてもこうした取り組みのほか、大学の枠を越えた連携や教育機能強化等に対し支援を行うことにより、各大学の第3期に向けた新たな組織づくりへとつながっている。このほか、本稿では詳細を割愛するが、年俸制やクロスアポイントメント制度を活用した人事給与システム改革、平成27年4月に施行された学校教育法・国立大学法人法の一部改正法によるガバナンス改革も重要なポイントとなっている点は触れておきたい。国立大学改革プランでは、各大学が改善に取り組んだ内容を第3期に実装するため、第3期の中期目標・中期計画の策定に関し、平成26年度中に組織業務の見直しに関する視点を提示し、平成27年度には中期目標・中期計画の見直し方針を提示すること、また、改革加速期間中の取り組みの成果を基に、国立大学法人運営費交付金の配分方法等と各大学の取り組みに応じた評価方法について検討することとしている。第3期中期目標・中期計画の策定の本来の趣旨とは国立大学の中期目標・中期計画は、中期目標期間の6年間の各大学の活動目標を網羅的に示す重要なものである。この策定に当たっては、大学の自主性・自立性を尊重する観点から、一般の独立行政法人制度と異なり、各大学が自ら中期目標・中期計画の素案を策定することとなってリクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015国立大学法人 スタート 平成16年度 (2004年4月) 平成22年度 (2010年4月) 平成25年度 (2013年4月) 平成28年度 (2016年4月) 第2期中期目標期間 (平成22~27年度) 第1期 中期目標期間 ((平成16~21年度) 第3期中期目標期間 (平成28年度~) 国立大学経営力戦略 法人化の長所を生かした改革を本格化 新たな法人制度の 「始動期」 持続的な“競争力”を持ち、 高い付加価値を生み出す国立大学へ 「社会変革のエンジン」 として 知の創出機能を最大化 ・ 自律的・自主的な環境の下での国立大学活性化 ・ 優れた教育や特色ある研究に向けてより積極的な取組を推進 ・ より個性豊かな魅力ある国立大学を実現 ・ グローバル化 ・ 少子高齢化の進展 ・ 新興国の台頭などによる競争激化 《国立大学法人化の意義》 《国立大学を取り巻く環境の変化》 グローバル化、イノベーション創出、人事・給与システムの弾力化 など 自主的・自律的な改善・ 発展を促す仕組みの構築 改革加速期間 国立大学改革プラン (平成25年11月) 今後の国立大学の機能強化に向けての考え方 (平成25年6月) ミッションの 再定義 図表1 国立大学法人化以降の流れ2第3期に向けた見直しのポイント

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