カレッジマネジメント195号
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43リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015選択科目ではあるが、警察官をはじめとした公務員志望の多さを反映して、7割以上の学生が受講しているという(下図参照)。3年生になると、「キャリアマネジメント」と並行して「試験演習」が選択科目に加わる。「警察官・消防官」「地方公務員」の2つに分かれ、過去問題を実際に解き、学生同士でディスカッションも行う。1、2年生の勉強を踏まえて、3年生はまさに実践というわけだ。「他大学では、公務員試験対策に専門学校等に通う、いわゆるダブルスクールの学生も少なくないようですが、本学では授業の中で取り組みんでいるので、その必要がありません。時間的にも経費的にも学生の負担を軽減できていると思います」(奥村特任教授)「キャリアマネジメント」では、外部の専門学校と提携して講師の派遣を受けているが、カリキュラムは学内で開発。「奥村先生をはじめとする先生方は、警察官の経験こそありませんが、警察官受験指導を十何年経験しておられるベテランです。過去問等はもちろん、面接のお辞儀の仕方に至るまで、警察官受験には非常に詳しい。そういう方が、カリキュラムを企画し、実際の指導にも当たるということです」(大森学長)公務員試験対策に力を注ぐ大学も増えつつある中で、日本文化大学が成功してきた「秘訣」はどこにあるのだろうか。「まず、10年前というのは一足早い時期だったということ。それから、公務員、その中枢である警察官、消防官、地方公務員の、志望者を合格させることが中心課題だと、教員、職員が、全学的に一丸となれたことでしょうか」(大森学長)しかし、なぜ一丸となれたのかという疑問は残る。あえて推測するなら、「就業力強化策として警察官試験対策を導入し、特化しよう」ではなく、「警察官志望の学生を一人でも多く合格させよう」というニーズ先行型だったために、教員・職員の反対が少なく、まとまりやすかったという要素はあったかもしれない。建学の精神に根づいた人間力育成最近の公務員試験の全般的な傾向として「人物重視」があるという。「神奈川県警や大阪府警が顕著なのですが、『学力より人間力』みたいになってきて、採用試験でグループディスカッションみたいなのを重視し始めているんです。丁々発止というか、学生間で協調しつつ議論ができるような多面的な力が必要になっていると思います」(大森学長)この傾向には、ゼミナール教育で対応している。1・2年生の基礎ゼミ、3・4年生の専門ゼミはいずれも必修で、基礎ゼミは20人、専門ゼミは12、3人と少人数グループ。グループディスカッション形式の授業も取り入れるが、単なる試験対策ではなく、人間形成を兼ねるものと位置づけられている。奥村特任教授は、公務員試験が一般企業の採用基準に近づいてきたと捉え、これからの教育はより人物重視を考えているという。「本学には、恩愛禮義、清明和敬、重厚中正、祖風継承という4つの建学精神があるので、これをいっそう大事にして学生と接触していこうと」。大森学長も「最近は企業の面接でも、君の大学の創学の精神は何か等と聞かれるらしいですよ」と言い、建学精神とその表れとしての独自教育に注目する。「創学者の蜷川親ちかつぐ繼先生は、『広く次代の国家を背負う人材の育成』を目指し就業力を育成する3年次キャリアマネジメントⅢ知識の応用力を養成実践的な試験対策を行う →警察・消防コース →地方公務員上級・  国家公務員一般職コース →市役所コース[主な講義内容]□ 数的処理□ 文章理解□ 社会科学□ 時事問題□ 論作文□ 面接対策実 践キャリアマネジメント (選択科目)基 礎キャリアマネジメントⅠ出題頻度の高い問題の解法を身につける[主な講義内容]□ 数的処理1年次応 用[主な講義内容]□ 数的処理□ 人文科学□ 社会科学□ 自然科学社会人として必要な教養力を養成するキャリアマネジメントⅡ2年次通 年全30回補 講全30回(キャリアマネジメントⅡ・Ⅲ)

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