カレッジマネジメント195号
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念にマッチしたPBL「地域つながるプロジェクト」に2010年度から継続的に取り組んできた結果だ。なかでも日本人学生と留学生が一緒に、3カ国語対応の観光案内アプリを作成した「山陰・山陽スマート観光のためのコンテンツリッチ化検討プロジェクト」は学内外で評価が高く、学生が地域に出て、チームで活動することが非常に良い学習成果を持つことが分かったという。事業の採択を受け、2014年度に全学部横断型の「地域イノベーションコース」を新設。現在1・2年生の約400名が登録する人気コースだ。4年間のカリキュラムで、1年次は座学、2〜4年次は学外の地域拠点「ちぃスタ(地域協創スタジオ)」でPBLやサービスラーニング等を学ぶ。「ひろみらセンター」は、こうした地域イノベーションコースの運営を、所属する職員と教員が推進する組織だ。次に「学習支援センター」だが、学習アドバイザーが常勤する「まなびカウンター」において、文章作成・語学学習支援を行うほか、個人・グループ学習ゾーン「まなびコモンズ」、PCスペース「まなびラボ」、「まなびホール」等、グループ学習スペースを多く配置したのが特徴。まなびホールで半年間プレゼン力を磨く“プレゼンマスターズ”等、学生主体のスタディグループも盛んだ。そして「国際センター」は、世界12カ国・地域29大学と協定を結び、昨年度は230名の学生を海外に派遣し、約150名の留学生を受け入れる等の国際交流を推進している。協創館1FのiCafeでは、学生が多言語・多文化に触れる機会を多く設けており、学内の国際交流スペースとして賑わっているという。まさに教育改革の中枢ともいえる協創館だが、利用する学生は得てして意欲の高い学生に偏りがち。「利用者の層を広げることと、国際教育カリキュラムの構築等国際センターの強化が今後のテーマ」と宇野副学長。さらなる充実化に期待したい。(取材/林 知里 文/能地泰代)広島修道大学は、学生数約6000人、5学部9学科を擁する文系総合大学だ。ここに2015年3月、協創館(8号館)が完成した。2012年度から議論を続け、「今後社会から大学に求められる新たな役割を発展させる施設を目指した」と語るのは、宇野伸浩副学長だ。その役割とは、地域社会と連携した教育、主体的な学修を促す学習支援、グローバル人材の育成だ。そこで誕生したのが、キャンパス内に点在する3つのセンター「ひろみら(ひろしま未来協創)センター」「学習支援センター」「国際センター」を1カ所に集めた、新しい教育の拠点“協創館”だ。「協創館で3センターが実現したかったコンセプトは“成長実感”」と語るのは、佐渡紀子学習支援センター長だ。主体的に学びたいと考える学生、留学生、それを支援する教職員の出会いを促し、学生が互いの学びを共有することで成長を実感できる空間にしたかったという。地下1F、地上4F建ての館内には、地下1Fに「ひろみらセンター」、1Fに「学習支援センター」と「国際センター」を隣接させ、教育の可視化を実現。2・3Fに「語学自習室」「講義室」、4Fに心理学実験実習室「こころLAB」を配置している。まず「ひろみらセンター」だが、文部科学省の地(知)の拠点整備(COC)事業に、同大学の「イノベーション・ブリッジによるひろしま未来協創プロジェクト(ひろみらプロジェクト)」が採択されている。私立大の申請180件中15件という激戦の中の採択は注目に値する。これは、地域社会の要請のもとに誕生した同大学が、「地域社会の発展に貢献できる人材の養成」の理56リクルート カレッジマネジメント195 / Nov. - Dec. 2015可動式のテーブルとイスを配置した「まなびコモンズ」は、グループワークやディスカッション等を行うラーニングコモンズとして活用するスペースだ。
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