カレッジマネジメント196号
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33リクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016いる一部の人達だけだ。メガバンクはどうか。こちらだって、毎年1000名も新卒採用するが、そのほとんどが、地方支店でキャリアを終える。本店に引き抜かれ、グローバルに羽ばたいて、海外でプロジェクトファイナンスをする人間など1割もいないだろう。メガバンクでさえそうなのだ。これは電気産業でも自動車産業でも同じだ。国内販売網を代理店が担い、そこに修理配送等のサービス拠点も併設する。圧倒的多数がそこに採用される。本社本体に採用されるのは、グローバル大手メーカーでも文系は100名程度となる。この100名は確かにグローバルな仕事をする可能性は高いが、それでも、比率でいえば、3~4割ではないか。こんな構造なのだ(図表6)。グローバル人材のニーズをいくら足しても、アメリカが2万名、フランスなら4000名、日本は1万名が関の山だろう。それに資する学生を有する「ほんの一部の」上位大学が頑張れば十分だ。確かに秋田の国際教養大学や立命館アジア太平洋大学は、彗星のごとくグローバル化に成功し、その「一部のワク」を獲得した。が、しかしそれは先見の明があったからこそできたので、今から真似をしたとしても、勝ち上がれる可能性は低い。ここでは、大学関係者を惑わせる企業の声もくさしておきたい。企業人は何かにつけ「グローバルな人材が必要」と言う。本当にそこかしこにグローバルな仕事がころがっているわけではないのに、なぜそう言うのか。一つは、企業は贅沢を言いがちなのだ。機会もそれほどあるわけではないのに、その少ない機会に「いざという時誰でも行けるように」とそんな理不尽な贅沢を言っていることが大きいのだ。もう一つは、結局、グローバル人材といっても、グローバルエリートではなく、外国人観光客に対応できたり、サービス流通業などを中心に増えている外国人労働者・技能実習生などとうまく対応していける人材を指している場合が多い。こうしたインバウンドニーズを全て「グローバル人材」と呼んでしまっているので誤解が生まれる。こちらのタイプの人材には、異文化を受け入れる教育や、おもてなし教育などの「人間形成」が重要になる。G型教育とは全く異なる話だろう。単に語学教育だけでなく、こうした人格面での教育がセットされるなら、非常に産業界も喜ぶだろう。色々な立場の人の意見をわだかまりなく聞け、胸襟を開ける人材は、外国人だけでなく日本人相手の仕事でも力を発揮するに違いない。日本企業の中で階段を上るメカニズムと、ここまでで、欧州型の職業教育を単純に日本に持ち込むこと、そしてG型大学のニーズに関して冷たい見図表6 グローバルなハイパーエリートのニーズ 信組・信金 地銀・ 第二地銀 農協 ゆうちょ メガバンク ■ 例えば金融業界なら… グローバルでハイパー業務 G型大学の産業ニーズは、大学定員の1~2%程度? 従来と変わらない 国内業務 ディーラー 特約 サービス メカニック 本社本体 ■ 例えば自動車業界なら… グローバルでハイパー業務 従来と変わらない 国内業務 特集 “学ぶ”と“働く”をつなぐⅡ

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