カレッジマネジメント196号
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38リクルート カレッジマネジメント196 / Jan. - Feb. 2016プ」を実現。これらのプロトタイプから進化したキャリア支援を5年後には通常の業務として定着させることを視野に入れて、早い段階から教職協働で推進。また、演習を公開してその進め方の情報を共有し、教員がお互いに学びあってレベルアップを図る計画を持つ。類似の「授業公開」は他大学でも事例があり、「他の教員がどんな授業(講義・演習)をしているのか、お互いに知らない」という「大学の常識」への問題意識が芽生えているようだ。広義に「教員同士の連携」とも言えるこの動きにも注目したい。《事例》嘉悦大学(連載第13回 2013年9月号/182号)大学事務局、図書館、PCヘルプデスク等、学内でアルバイト機会を多数提供。学部生のSA(スチューデントアシスタント)、大学院生のTA(ティーチングアシスタント)は、「働ける大学」の一環であると同時に、学生によるFDとしてもよく機能している。教員は授業で、職員はアルバイト先の上司という形で学生に関わることが、独特の教職協働を作り上げている。《事例》熊本大学(連載第21回 2015年1月号/190号)「地元である熊本の良さを理解し、世界に向けて発信する」ことを「国際化」と捉え、教養教育科目「肥後熊本学」を開講予定。地域社会と連携し、地域課題の解決や地域のグローバル化を担う人材の育成を目指している。《事例》大阪経済大学(連載第24回 2015年7月号/193号)産業界との密接な連携で、毎年400名以上のインターンシップ生の受け入れ先約200社を安定的に確保。進路支援部の職員がゼミでガイダンスを行う等、ゼミ所属率の高さ(約97%)を生かした教職協働も行われている。まとめると、①社会(企業、卒業生、地域等)、②教員、③職員という3つの連携が鍵となる(図表2)。3)グローバル化社会への対応が今後の課題③問題点取り組みにあたっての困難や問題点、それをどのように乗り越えてきたかを尋ねてみると、問題点の多くは、計画段階よりも実施段階にあることが分かる。一部の教員によるトライアルや学科・学部単位の取り組みに終わらせず、全学的な改革へと拡大するためには、一部の教員(特任教員)から専任教員の巻き込み、教職協働、手間と責任の所在の明確化等の問題解決が必要である。《事例》島根大学(連載第6回 2012年7月号/175号)学長が自らインターンシップ受け入れ先企業の開拓等の「手間」を掛け、全学的事業として「責任」をとることを明言。《事例》広島経済大学(連載第15回 2014年1月号/184号)全学的な「人間力開発プログラム」を教職協働の学部外組織で推進。必修科目との関連付けで参加学生数の増加とともに、従来関わっていない教員への浸透も目論む。それぞれの工夫と努力で課題を解決してきた事例が多かったが、まだ道半ばであるという声もまた多かった。《事例》電気通信大学(連載第20回 2014年11月号/189号)学外(社会人)講師、産業界OBのティーチングアシスタントがキャリア教育を担っている現状で、今後、専任教員・専門科目教育とどう関わりを持たせるが課題。④今後の課題今後の課題・方向性として多くの学長があげたのが、グ図表2 鍵となる3つの連携 各種外部セクター 学内 社会 (企業、卒業生、地域) 教員 (中心となった) 教員 (他の専任教員) 職員 インターンシップ 地域をキャンパス、商店街、 過疎地等 演習を公開 複数教員で授業科目の設計 アクティブ・ラーニング等 キャリアセンターとの連携強化 職員参加のプロジェクト等

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