カレッジマネジメント196号
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空中の美学    体育館の天井に届かんばかりの勢いで宙に舞う。その高さは7、8メートルにおよぶという。オリンピック種目としても注目を集めるトランポリン競技。多くの学生トップクラスの選手を育成している強豪チームが、金沢学院大学のトランポリン部だ。全日本学生トランポリン競技選手権大会(インカレ)の学校対抗において男女優勝、男子は、個人、シンクロ、団体、学校対抗と、4つの部門で優勝という完全制覇を成し遂げている。15名の精鋭が集う、この部の主将を務めているのが、岸大貴さんだ。「両親が器械体操をやっていた影響で、姉がトランポリンを始め、私も3歳の時からトランポリンをずっと続けています」。姉の岸彩乃選手も同じ金沢学院大学出身でロンドン五輪に出場。現在同大学の職員として日本代表に選ばれている注目の選手。まさに体操一家に育った岸さん。「私達のトランポリン部は、福井卓也監督(シドニー・ロンドン五輪コーチ)、丸山章子監督(シドニー五輪6位入賞、ロンドン五輪コーチ)という素晴らしい指導者のもと、オリンピックや日本代表を目指す選手が揃っています。基本は個人競技なので、一人ひとりの高い目標に向かって切磋琢磨しています。主将としては、インカレの優勝・連覇を続けていくという使命を持って取り組んでいます」。トランポリン競技は、1回の演技の中で10種類の技をつなげ、その難度や完成度、空中姿勢の美しさ等を競う。だからこそ、それぞれの技を磨き、さらに難度の高い技にも挑戦していかなくてはならない。「例えば、3回宙返りをできるようになるためには、2回転半にもう半回転プラスする意識で何度も繰り返し、練習を積み重ねます。あと少しの感覚を体にしみ込ませなければ、目指す技を体得することはできません。日々の半回転の積み重ねがとても大切です」。そう語る岸さんも高い目標を掲げている。大学でのインカレの連覇。そして個人としては2020年の東京オリンピックでのメダル獲得。主将として部を牽引していくことはもちろん、日本の未来のエースとして成長することも期待されている。まさに、「空中の美学」を追求する日々の先に、日本のトランポリン界がさらなる輝きを放つことだろう。 (写真・文/西山俊哉) 主 将岸 大貴 さん (スポーツ健康学部スポーツ健康学科3年) 学生のリーダー 金沢学院大学 トランポリン部 当代 当代 Vol.58

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