カレッジマネジメント197号
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28リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016テップを1つの年間プロジェクトとして様々な施策(上段にある項目が具体例)を打ちながら毎年推進していく。お気づきのように、これは大学の募集プロセスの構造とよく似ており、それゆえ企業の採用活動の中に、募集プロセスの質を高めるためのヒントがあるのではないか、と考えている。特に、学生側に理解を促し、自らにフィットすると納得したうえで決断に導くプロセスであるステップ2・4・5が、今回の入試制度改革では参考になるのではないだろうか。②採用活動が目指すゴールは「全員活躍」冒頭でもお伝えしたように、企業では「採用・配置・育成・評価・等級・処遇・代謝」という人材マネジメントシステムをいかに一貫して機能させるかが重要視されているが、その本質は、社員一人ひとりがその持ち味を生かし、活躍し成長することにある。それは、「一部の優秀層だけが活躍する」ことではない。複雑かつ多様な機能からなり、その連動性が求められる企業という機能体が高い生産性を上げるためには、「全従業員が活躍する」ことが求められるということを意味している。企業はこの「全員活躍」状態を作るために、新しい仲間を外部から調達する「採用活動」において、様々な創意工夫をしている。その代表的なものを挙げてみたい。・入社後の定着・活躍・成長を実現するために、採用と入社後を連動させる。・自社の事業・風土・仕事に納得度を高めたうえで入社を決断できるように学生に関わる。・高い採用力を実現するため、トップから新人までが関わる「全社活動」にする。・それを継続的に高めるため「PDSサイクル」の仕組み化を行う。③KFSは「個性化」と「マッチング」それらの創意工夫に芯を通し、採用活動の成否を分けるKFS(Key Factor for Success)となるのが『個性化』と『マッチング』である。『個性化』とは、自社が他社と違う特徴は何か?ということを明確にすることであり、「人材要件」に込められる。また、『マッチング』とは、自社の個性と、学生の個性をマッチさせ、フィットする人材を入社に導くことであり、図表1 企業の採用プロセスと、大学の募集プロセスの比較Step1 母集団 形成 Step2 動機づけ Step3 選考 Step4 意思決定 促進 Step5 受け容れ 準備 メディア活用 DM ホームページ 進学相談会 高校訪問 オープンキャンパス 入試説明会 個別相談会 学力評価テスト 記述・論文問題 高校時代の活動 エッセイ・学修計画 面接・集団討論 合格通知 合格者イベント 入学前教育 入学式 メディア活用 DM ホームページ 合同説明会 OB/OG訪問 セミナー 説明会 リクルーター インターンシップ 適性検査 集団面接 グループディスカッション 個人面接 内々定出し (採用担当現場リクルーター トップマネジメント) 社員懇親会 内定者懇親会 内定式 内定者アルバイト 入社前教育 資料請求 エントリー 来校 対面 入試 検査・面接 入学先決定 入社先決定 入学前準備 入社前準備 企業の採用プロセス 大学の募集プロセス

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