カレッジマネジメント197号
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29リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016特集 相互選択型の入学者選抜へ「人材要件」を軸にした「採用活動全体の施策の中の機能」として込められる。採用の軸となる「人材要件」を、企業はどうデザインしているのか「人材要件」は、それぞれ成り立ちも強みも異なる企業が、自社の将来を託していく人材の基準であり、企業の個性が最も表れる。では各企業は、それを具体的にどのように表現しているのか。また採用活動の現場で活用するために、どのような観点が込められているのだろうか。<価値観・考え方・働きぶりを込める>企業が軸として設定している人材要件の具体例を見ていく。2016年新卒採用時にホームページ上で発信していた、日本を代表する製造業2社の人材要件に注目してみたのが、図表2である。読者の皆さんは2社を比較してみた時にどのような違いを感じられるだろうか。人や組織に対するフォーカスの当て方に大きな違いを見て取れるのではないだろうか。一見「主体的」「主体性」という言葉は一致しており、同じようにも思えるが、個の想いを重視した「意志」中心の表現になっているホンダ社に対して、組織で目指す高い目標に沿った個の「役割」をベースにした表現になっているトヨタ社という違いが表れている。それらは特に採用メッセージに強く込められており、ホンダ社の「どうなるかじゃない、どうするかだ。」は非常に特徴的である。<継承し続けるもの、変えるべきもの>そもそも、採用活動のなかでも特に新卒採用は、未来を創る活動であるといえる。成長し数年後に戦力になる採用者が活躍している状態とは、どのような姿なのか。その設計はまさに未来を設計することそのものであり、つまり、それは「どのような状態にしたいのか」という意思の問題であり、経営の図表2 人材要件の具体的な表現例【採用メッセージ】  笑顔のために。期待を超えて。【人材要件】あえて「困難で高い目標」を自分で掲げ、現場の事実をしっかり見据えたうえで、泥臭く、愚直に、そして主体的にやり抜いていける人他の価値観を尊重し、意見に謙虚に耳を傾け、周囲を巻き込んで仕事を進めていくことを、グローバルな舞台で実行できる人【The TOYOTA WAY】 行動原則■知恵と改善・チャレンジ夢の実現に向けて、ビジョンを掲げ、勇気と創造力をもって挑戦する・改善常に進化、革新を追求し、絶え間なく改善に取り組む・現地現物現地現物で本質を見極め、素早く合意、決断し、全力で実行する■人間性尊重・尊重他を尊重し、誠実に相互理解に努め、お互いの責任を果たす・チームワーク人材を育成し、個の力を結集するトヨタ社(2016年新卒採用ホームページより)【採用メッセージ】  どうなるかじゃない、どうするかだ。【人への思い】無限の意欲と、無限の主体者が、Hondaを動かしていく。大切にしたいのは、従業員の一人ひとりの意欲と主体性。Hondaを動かしているのは、夢や希望を実現したいという、一人ひとりの従業員の想いとアクションに他なりません。【Hondaism】・世のため人のため、自分たちが何かできることはないか・松明は自分の手で・差ではなく違いを活かせ・120%の良品をめざせ・まず自分のために働け・Hondaは利益優先の会社ではない・企業は人なり・能ある鷹は爪を誇示せよ・見たり、聞いたり、試したりで、試したりが一番重要なんだ・技術の前ではみな平等だ、問題はアイデアの中身だ・アイデアを出して大いに遊ぶ・ノープレー・ノーエラーを排せ・A00・ワイガヤホンダ社(2016年新卒採用ホームページより)

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