カレッジマネジメント197号
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33リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016セージを伝え、そのメッセージに合った選考を行い、さらに動機づけを行い入社の決断を促すといった採用選考のプロセスは、まさにこれから増えてくると考えられる、多面的・総合的評価を行う新しい「相互選択型入試」そのものであると言える。さらに企業の採用活動のゴールである「入社後定着・活躍」の考え方も、「大学教育へのスムーズな移行とその後の成長」に置き換えれば、入学者選抜だけではなく、それをどう大学教育に接続するか、どのようなPDSサイクルを回すかといったことのヒントになる可能性がある。社会で活躍する人材を輩出するために ──高等教育機関に求められることとは?課題先進国である日本。その現実を受け止め、この国をさらに発展させていくには、目の前にある前例のない課題に挑み続ける必要がある。そのためには、これまで以上に個々がその持ち味を生かし、「全員が活躍」する世の中を作ることが重要であると考えている。その意味では、社会に出る直前の高等教育機関と、その学生を受け取って社会へ接続する企業に期待される役割は大きい。大学は若者の個性や志・能力を教育を通じて存分に引き出して育成すること、そして産業界のコアを成す企業は、事業とその中の仕事を通じてそれらをさらに伸ばし、生かすことで、社会に還元していくこと。それらが我々の使命である。高等教育機関においては特に、学生がその理念に沿って学び、自身の持ち味を理解し、存分に発揮できる力を高める「在学期間」をより有効なものとするために、学生の希望や志向と大学の教育、身につく力が合致していること、そしてそれに対する納得度の高い学生を入学させることが重要なのではないかと思う。そして、この点が「今回お伝えした企業の例がその取り組みの参考になるのではないか」、と考える接点である。創り出したい状態、そしてその成否を分けるポイントや構造が非常に近い「企業のリクルーティング活動」の中から、貴校が取り組まれる際の具体的ヒントが見つかればと思う。そして、今求められているこの変革に積極的に取り組むことが、貴校がさらに素晴らしい教育機関へと前進される機会になることを願ってやまない。特集 相互選択型の入学者選抜へ図表7 人材要件を軸にした採用活動のPDSサイクル大学生 入社前 入社後 初期配置 入社 求める 人材要件の 設定 採用活動 検証 パフォーマンス 採用・内定期間 採用活動の PDS 定着・成長 GoodとPoor 差異分析 企業 1 2 3 4 5

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