カレッジマネジメント197号
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46愛知県豊明市にキャンパスを構える藤田保健衛生大学は、医学部と医療科学部の2学部7学科によって構成された、私立の医療系総合大学である(2015年5月現在の学生数は、大学院も含めて2810名)。同大学では、半世紀前より学部・学科の枠を越えたチーム制での共通活動を行い、チーム医療に欠かせないスキルとスタンスを身につける、独自の「アセンブリ教育」に取り組んできた。さらに、2016年度入試においては、医療科学部において「アセンブリ入試」を実施。大学の理念に即した人材選抜・育成の深化を目指した同取り組みは、医療系大学における先駆的な入試改革として注目を集めている。大学の教育理念とアセンブリ入試導入の狙い、その成果と今後の課題について、星長清隆学長、金田嘉清副学長(医療科学部長)に話をうかがった。「獨創一理」の理念と「良き医療人」の育成藤田保健衛生大学は、1964年に創設された南愛知准看護学校を母体とする。四年制大学としては、1968年に名古屋保健衛生大学を開学。衛生学部(後の医療科学部)から成る単科大学として、衛生技術学科・衛生看護学科が置かれていた。医学部の設置は1971年で、現在の大学名となったのは1984年である。建学の理念は創設者である藤田啓介が掲げた「獨創一理」。「独創的な学究精神を堅持して真理を探究し、おおらかな誇りを持ち、感激性に富む、個性豊かな人格を形成する」との意味を持つ。「藤田先生は、医者であると同時に科学者で、権威にとらわれない自由な発想と、先進的な理念を持っていた」と星長学長は話す。特に教育面では、患者に優しく技術もある「良き医療人」の育成を掲げ、幅広い医療専門職に対するきめ細やかな指導を特長としてきた。その成果として、藤田保健衛生大学の学生は、医師・臨床検査技師・看護師・保健師・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士・臨床工学技士・診療情報管理士といった各種医療資格の合格率において、全国平均を上回る高い実績を誇る。研究・診療の面でも、大学病院での手術支援ロボット「ダヴィンチ」の導入(2009年)、医療科学部と大学病院の協力による地域包括ケア中核センターの設立(2013年、病院を有する大学としては全国初)等、「獨創一理」の理念に根差す先進的な取り組みが追求されてきた。アセンブリ教育の伝統と入試改革への挑戦先駆的な医療人養成を追求する藤田保健衛生大学の姿勢を顕著に示すものが、学部・学科の枠を越えて連帯精神を育む「アセンブリ(全員集合)」の理念である。藤田保健衛生大学は、始まりがコメディカル人材の育成であったこともあり、創設初期の段階から、幅広い専門職の連携によって医療に取り組む能力・姿勢の育成を重視してきた。「患者中心のリクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016良き医療人の個性を導く「アセンブリ入試」の挑戦金田嘉清副学長(医療科学部長)星長清隆 学長藤田保健衛生大学C A S E4豊明キャンパス(医療科学部棟2016年2月竣工)

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