カレッジマネジメント198号
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13リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016る」「相互作用の視点で理解する」等、歴史的なものの見方や考え方に基づいて追究することによって、歴史的な知識を概念として体系的に理解することとしている。その際、教科書などで扱われている用語が膨大になっていることが学習上の課題となっていることを踏まえ、歴史的なものの見方や考え方につながる重要な概念を中心に、用語の重点化や構造化を図る重要性も指摘されており、この点は、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の出題の仕方においても工夫される予定だ。理数教育については、スーパーサイエンスハイスクールにおける取り組み事例等も参考にしつつ、数学と理科の知識や技能を総合的に活用して主体的な探究活動を行う選択科目として「数理探究」(仮称)を新設すべく、その具体的なあり方の検討が進んでいる。このように、学習指導要領においてそれぞれの学びが「何のためか」を明確化するなかで、必要な知識の習得が十分ではない場合は学校種を超えて学び直しをしたり、習得した知識を教科固有の文脈を離れ、具体的な課題の解決のために教科等を超えて活用し探究したりといった学習活動の充実を通して、高校教育の質的転換を図ることとしている。でも、出口が変わらなければ…2つの「テスト」のインパクトいくら高校学習指導要領を改善しても、大学入試などの出口が変わらなければ、高校教育は変わらない。だからこそ学習指導要領改訂の議論や方向性と歩調を合わせながら制度設計がなされているのが、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」である。工業高校や商業高校等の校長会は、「ジュニアマイスター」(工業高校)や「簿記実務検定」(商業高校)等、生徒がどの程度力をつけたかを測る仕組みを確立している。主として普通科高校は質の保障を大学入試のみに依存図表2 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で問われる能力イメージ特集 高大接続改革への「高校の挑戦」表現 判断 思考 問題発見・解決に必要な情報の収集・蓄積 問題発見・解決に必要な新たな知識・技能の獲得 問題に応じた知識・技能の構造化 知識・技能の活用 結果の吟味とフィードバック 情報の抽出 抽出した情報に基づく問題の理解 問題の定義解決の方向性の決定 結果の予測 結果に基づく推論 次の問題解決に向けた推論 知識や情報に基づく仮説の形成 必要な情報 の選択 情報相互の関係性の構成、表現 言語表現、言語活動(記号や図表等による表現も含む) 表現に関する外部との 相互作用、フィードバック 結果の構成、表現 問題や解法、計画等の構成、 表現 解法や計画の評価・選択・決定結論に関する 意思決定 結論に基づく 意思決定 解決の方向性の 比較・選択 問題の明確化 新たな知識やモデル等の創造 新たな問いの発見 学習を通じた 創造的思考 推論 仮説の形成 プロセスの中で働く思考・判断・表現等のうち、特に重視すべきものの例 抽出した情報に基づく問題の理解 解決方法の 探索計画の立案 結果の予測 計画の実行 振り返り 次の問題 解決へ 問題の発見 ※必ずしも一方通行の流れではない 問題発見・ 解決の プロセス 他者への働きかけ、他者との協働 外部との相互作用

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