カレッジマネジメント199号
25/70

25我が国の人口は、2008年をピークに減少局面に入っている。2015年国勢調査によると、我が国の総人口は1億2711万人であり、2010年の前回国勢調査に比べて94万7000人減少(年平均18万9000人の減少)しており、国勢調査においては1920年の開始以来初めての減少を記録した※1。2014年に1.42となり9年ぶりの低下を記録した合計特殊出生率は、2015年に1.46となり、上昇がみられる。2015年の年間出生数は100万5656人となり、2014年の100万3539人に比べて若干の増加となっている※2。しかしながら、全体的な動向においては、我が国の人口減少に歯止めがかかるような状況とはなっていない。人口移動の面では、東京一極集中の傾向が加速している。2015年に東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)は、大阪圏や名古屋圏が3年連続の転出超過を記録する中で、11万9000人の転入超過(20年連続)を記録した(転出者数は前年比9000人増の36万8000人であったが、転入者数がこれを上回る前年比1万9000人増の48万7000人であった。東京圏への転入超過数は、2012年以降4年連続で増加し続けている。)※3。その結果、2015年の東京圏の人口は②東京一極集中の加速3612万6000人となり、全人口の四分の一以上が集中している※4。東京圏への人口移動の大半は若年層であり、2015年は15〜19歳(2万6000人)と20〜24歳(6万7000人)を合わせて9万人を超える転入超過となっている。さらに、近年は25〜29歳における転入超過数も増加傾向にある(2015年は前年比3000人増の2万人であった)。地方創生の観点から東京圏への一極集中を是正するためには、若い世代が進学時または就職時に地方に移り、そこで実りある人生を送って頂くような流れを作り上げていくことが大切である。そのためには、その地域の自治体だけが頑張ればよいというものではない。「産官学金労言」の様々な団体の協力が不可欠であるが、大学をはじめとする高等教育機関には、ぜひ主体的な役割を担って頂きたいと考えている。「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、政府として、全ての都道府県・市区町村に、地方版総合戦略の策定をお願いしていたが、現段階で、全ての都道府県及び1737市区町村(99.8%)が総合戦略を策定頂いている。地元の大学等にもその策定にご協力頂いており、ご尽力に感謝申し上げるとともに、戦略の実行に当たっても引き続きお力添えをお願いしたい。地方創生のプラン策定へ大学が積極的に参画2リクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016大学なくして地方創生の試みは実現しない地方創生と大学の視点から寄稿堀 清一郎 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官※1総務省「平成27年国勢調査人口速報集計結果」(2016年2月26日)。※2厚生労働省「平成27年(2015年)人口動態統計月報年計(概数)」(2016年5月23日)。※3総務省「住民基本台帳人口移動報告平成27年(2015年)結果」(2016年1月29日)。※4総務省「平成27年国勢調査人口速報集計結果」(2016年2月26日)。地方創生をめぐる現状認識1①我が国の人口減少の現状特集:地学地就の教育

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 25

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です