カレッジマネジメント199号
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39鶴岡市山形市新潟県福島県宮城県秋田県三川町酒田市庄内町遊佐町置賜地域村山地域最上地域庄内地域庄内総合支庁連携して事業を実施する自治体の範囲(山形県庄内総合支庁、鶴岡市、酒田市、三川町、庄内町、遊佐町)山形県げることもできれば、政策コースや地域福祉コースの科目を取って、経営学を軸にしつつも幅広く学ぶことも可能だ。更には、他の系の科目ですら一定程度を卒業単位に組み入れることができる。 学生の中には、入学前から例えば社会福祉士になるという希望を持ち、地域福祉コースを選ぶタイプの学生もいれば、学んでいくうちに漠然としていた興味が明確になるタイプの学生もいる。どのような学生であっても学んでいける柔軟性を備えており、自分だけの学びを実現できるのが、東北公益文科大学のカリキュラムである。もう一つの特長である、「地域に出る」はどのように手当をしているのだろうか。地域に関わる学びは、1年次第2セメスターに配当されている必修科目「庄内の文化」から始まる。「庄内の文化」では、広く庄内地域の現状を学ぶように内容が組み立てられている。実は、ここで学ぶ庄内の現状は、同じく1年次第2セメスター以降に開講される「プロジェクト型応用演習」の成果が用いられている。「プロジェクト型応用演習」は、庄内の地に潜む課題を扱う授業となっており、例えば近年では、観光や小中高生向けの授業開発、実店舗の経営、防災、老いなど、今起きていること、今取り組まねばならないことが直接的に扱われている。この成果が他の学生にもフィードバックされ、新たな学びにつながる仕組みが埋め込まれている。他にも、「インターンシップ」や、企業等から持ち込まれた課題を解決する「競争型課題解決演習」が開講されている。大学から地域へ、地域から大学へ、という方向性の違いはあったとしても、いずれもがその地域における実際的な「本物の課題」に触れる機会を学生に与えていることがわかるだろう。このような自由度の高いカリキュラムや実践的な科目を前にして、学生は立ち尽くさないのであろうか。東北公益文科大学では、学生が自身の学びにしっかり取り組めるよう、アドバイザリー制度が敷かれている。アドバイザー教員と学生は、半期に一度面談し、各種のワークシートを用いて、学生の自己評価や成績、履修状況を基に、次の半期でどのように学んでいくかを共に考える。このアドバイジングには全教員が関わる。初年次に必修として開講されている「基礎演習a」を担当した教員が、1年生及び2年生の間はアドバイザーとして学修支援を行う。各教員が受け持つ学生の数は最大8名となっており、きめ細かい対応が可能となっている。ゼミ所属後は、ゼミの教員がアドバイザーを引き継ぐ。半年に一度の定期の面談に限らず、オフィスアワー等を活用していつでも相談に乗ってもらえる。それだけでなく、退学の未然防止の観点から、欠席が2回連続した学生についてはアドバイザーに連絡が行き、アドバイザーがケアをするという体制になっている。このように、必要な学びについて助言してくれるアドバイザーを加味することで、学生の学びが促される体制を調えている。さらに深く理解していくために、教育課程以外のことにも目を向けてみたい。同大は、学生を地域志向にするだけでなく、地域の人たちとともに地域課題に取り組める体制作りもまた目指している。地(知)の拠点整備事業の一環と自由度の高い学びを支えるアドバイザリー制度地域の人たちと一緒に取り組むリクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016図表1 山形県全域と庄内地域特集:地学地就の教育

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