カレッジマネジメント199号
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502017年卒の大卒求人倍率調査(大学生・大学院生対象)の結果によると、大卒求人倍率は1.74倍と、前年の1.73倍よりわずかに上昇となっている。求人倍率は求人企業と民間企業に就職希望する学生数とのバランスで決まるので、両者の動向について見ておきたい。求人数は、前年の71.9万人から73.4万人へと1.5万人増加した。対前年増減率でみると+2.1%であり、2015年卒以来3年連続増加しているが、増減率は鈍化している(図表1)。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年41.7万人から42.2万人と5000人あまり増加した(対前年増減率は+1.2%)。学生の民間企業就職希望者数が増加したのは2012年卒以来5年ぶりのことであり、この背景については後で見ていきたい。次に、求人数の増減率が鈍化している様子について見ていきたい。大卒求人倍率は2012年卒より5年連続で上昇していることからも、学生にとって就職しやすい環境になっている一方、企業にとっては採用しにくい環境になっている。過去のデータを再分析した結果、図表2で示しているように、新卒採用を行う企業のうち当初の予定人数通りに採用できなかった(未充足がある)企業の割合は、年々増加し、2016年卒においては54.4%となっている。また、先ほど紹介した企業の求人数の増減率+2.1%は、前年の採用予定人数(求人数)に対する増減率であるが、2016年卒の採用実績人数に対して、2017年卒の採用予定人数(求人数)の増減率を計算すると+16.2%となっており、採用実績に対しては企業の求人数は大きく増えていることになる。一部の企業では、採用基準を下げてまで充足しないと決めている企業も見られるが、多くの企業では応募する学生数からして採用予定数に達しないことから、結果として充足できていない状況が見られ、こうした企業でリクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016調査目的:2017年3月卒業予定の大学生及び大学院生に対する、全国の民間企業の採用予定数の調査、及び学生の民間企業への就職意向の調査から、大卒者の求人倍率を算出し、新卒採用における求人動向の需給バランスを明らかにする。【企業】調査対象:従業員規模5人以上の全国の民間企業7,089社調査項目:2017年3月卒業予定者の採用予定数調査期間:2016年2月9日~3月11日回収社数:4,504社(回収率63.5%)【学生】調査対象:2017年3月卒業予定者を対象とした「就職に関するアンケート」の結果をもとに、従業員規模別、業種別の就職希望者数を推計した。集計サンプル数:大学生 4,428人 大学院生 952人調査期間:2016年1月20日~3月21日●調査概要●戸田淳仁 リクルートワークス研究所 主任研究員・主任アナリスト新卒採用の未充足企業の増加大卒求人倍率は前年よりわずかに上昇リクルートホールディングス「ワークス大卒求人倍率調査 (2017年卒)」大卒求人倍率で見る2017年卒の就職動向本稿では、2017年卒の大卒求人倍率調査(2016年4月21日発表)の結果についてご紹介したい。

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