カレッジマネジメント200号
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27リクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016院」制度を導入していることも、順位上昇の背景にありそうだ。志願度を上げた大学について、高校生の「志望理由」の自由回答を見ると、「早稲田だから」「最高峰」「スポーツマネジメント」(早稲田大学)、「MARCH」「社会学部」「留学」(法政大学)、「GMARCH」「小学校教員」「言語学」(学習院大学)等、学びたい分野の学部学科を有し、かつその大学に属すること自体が価値にもなるブランド校と、「歴史」「地理」「経営」(駒澤大学)、「パイロット」「体育教師」「観光学部」(東海大学)、「臨床検査技師」「救急救命士」(帝京大学)等、学びたい分野が明確に定まっている高校生から選ばれる大学に分かれる。また、国公立の場合、「理系国立トップ」「宇宙工学」「海外留学」(東京工業大学)、「国立で近い」「国際」「看護」(千葉大学)、「家から通える公立」「学費」「公務員」「助産師」(首都大学東京)等、経済的負担が少ないことと学びたいことの両立を目指している様子が垣間見える。志願度経年比較(2012〜2016)文理男女別の志願度を5年推移で追ったのが図表4である。文系全体は2014年まで上位3位が明治大学・早稲田大学・立教大学という構図だったが、2015年から立教大学が青山学院大学に入れ替わった。文系男子では明治大学が早稲田大学を逆転し3年ぶりに1位、文系女子では昨年に引き続き青山学院大学が1位となった。理系は明治大学が5年連続1位だが、2位東京理科大学・3位早稲田大学との差は僅か0.3ポイントと接近している。理系男子では早稲田大学が1位だが、同様に3位までのポイント差が0.2ポイントと僅差だ。様子が異なるのは理系女子で、昨年に引き続き北里大学が1位、明治大学が2位。3位には慶應義塾大学が入った。例年理系女子の特徴として、上位には医療系学部を持つ大学が多く入ることが挙げられる。知名度×志願度プロット分析知名度を縦軸、志願度を横軸にとり、大学の分布を表したものを2009年と2016年で比較したのが図表5である。関東エリアの平均知名度は2009年26.7%から2016年24.3%と2.4ポイント減少。平均志願度は0.8%から0.7%に低下した。知名度の中央値は17.7%から15.7%に下がり、3エリアで最も低くなった。全体として右上に向かって弓形の曲線を描くことから、一般的にはまず知名度を上げ、次にそれを志願につなげていく流れであることが分かる。関東は赤表記の上位集団が私大のみで、志願度でやや劣る緑表記のポジションに、私大に混じり国公立が分布するのが特徴だ。2009年では図表右上の上位校が緩やかな曲線で分布していたが、2016年は赤表記のなかでも志願度10%以上と未満で集団が二分された。また、緑表記ゾーンが2009年には24校あったのが2016年には20校に減少しており、左下の青表記ゾーンの分布が増加した。これらの大学は高校生にとっては他校との違いを識別しにくく、個性化・差別化において課題があると言える。イメージ項目最後に、高校生が個別の大学にどんなイメージを抱いているかを示した。機能的価値32項目(図表6)、感性的価値15項目(図表7)の計47項目である。全体47項目中21項目で東京大学が、10項目で早稲田大学が、6項目で青山学院大学が1位となった。また、全47項目中24項目で男女の1位が一致した(機能16項目、感性8項目)。関東エリアは大学数も多いこともあり、大手総合大学に対するイメージが強く、個別の大学に対する認識がそこまで差別化できていない様子が窺える。特に大学本来の差別化ポイントであるはずの「教育方針・カリキュラムが魅力的である」は、東京大学に代わり早稲田大学が1位となったが、値は17.8%と2割に満たない。そんななか、立地関連項目で強さを見せるのが青山学院大学だ。「交通の便が良い」「遊びに行くのに便利」「キャンパスがきれい」「おしゃれな」で1位と、都市部のメリットを多分に活かしたイメージを保持している。「偏差値」「入試が自分に合っている」「親しみやすい」で1位の日本大学は、近年入試でN方式を導入し、より受験しやすい環境を整備した経緯がランキングに表れた。「国際的なセンスが身につく」では上智大学が1位。従前からの外国語ブランドに加え、TEAP入試の導入や総合グローバル学部の設置等、高校生に関わりの強い入学周りでの改革イメージが定着してきたと言える。上位には例年外国語大学が多くランクインしているが、今年は総合大学も順位を上げてきており、「国際」と言われてイメージされる裾野が広がっている様子が窺える。関東/知名度×志願度プロット分析東海関西20162016特集 進学ブランド力調査

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