カレッジマネジメント200号
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5リクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016司会 本日のテーマは「今後の大学経営における学長の責務」です。2014年学校教育法92条が改正され、学長中心のガバナンスにより、意志決定と変革のスピードを上げていこうという方向性が示されました。国立大学は法人化以来、変化しているように思いますが、学長の役割がどのように変化してきたのでしょうか。山崎 金沢大学は2004年に法人化して以来、従来の学部・学科制を廃止し、3学域・16学類に再編成する等、目まぐるしい改革を推進してきました。教学だけではなく、マネジメントの観点でも学部の垣根がなくなり、部局長の人数が減った結果、意志決定のスピードが上がりました。今では教職員も国や大学が掲げる方針をやらなければいけないという雰囲気になっています。改革を進めるにあたり、学内の理解が得やすいと感じており、こちらとしては大変やりやすいのですが、逆にかじ取りを間違うわけにはいけないというプレッシャーもあります。競争的資金の獲得や、大学の研究成果等の数値把握等、学長の仕事はこれまでよりずっと多岐に渡り、非常に忙しい。おかげさまで少しずつですが、パフォーマンスや目に見える数値も良くなってきています。そうした結果を見て、教職員も改革を続けなければという意識が高まってきている状況です。田中 法政大学の場合は教授会が非常に強いですが、最終的に決めるのは総長です。総長は学長であるとともに理事長の権限を持っており、最終的に総長があらゆる決裁をします。実は学則の中ではっきりと明文化されていませんでしたが、今回の学校教育法改正の折に、総長が決定するという一文を学則に入れるという学則改正を行いました。しかし、それまでやってきたことを文章にしただけですし、そのことで現状が変わるわけではありません。本学は学部の自治が非常に強い反面、学部の教員は学生に対する強い責任感を持っていて、教育を良くしていこうというFD活動も非常に盛んです。学部のブランディングも強く意識し、特に小さい学部ほど能動的かつ精力的に取り組んでいます。 例えば国際文化学部は1999年に設立した際、学生全員を近藤倫明公立大学法人 北九州市立大学学長・副理事長山崎光悦国立大学法人 金沢大学 学長司会 小林 浩リクルート『カレッジマネジメント』 編集長田中優子法政大学 総長吉武博通筑波大学 ビジネスサイエンス系教授大学研究センター教授(兼)(50音順)今後の大学経営における学長の責務とは現在の学長の役割200号記念特集トップマネジメント座談会

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