カレッジマネジメント200号
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61ことが求められるため、平日のアルバイトが難しいほどだという。学部・学科の改組については、2016年にも文学部歴史学科文化遺産学専攻の設置、社会学部現代福祉学科の開設も行った。文化遺産学専攻を学べる大学は多くないため、倍率も高く、優秀で勉強意欲の高い学生が全国から入学した。学生の学習環境の整備5長前半のもう一つの目玉は、学生が学ぶ環境の整備である。2015年4月に深草キャンパスの「和顔館」、同年9月に瀬田キャンパスの「智光館」「瀬田図書館」にラーニングコモンズを開設し、学生の多様で主体的な学びを支援している。和顔館では、スチューデントコモンズ、グローバルコモンズ、ナレッジコモンズという3つの機能別に分かれたコモンズを横並びで開設した。学長が学生の頃は1人で図書館に行くのが普通のスタイルだったが、今の学生はグループ学習が多く、そうした環境を整備した。龍谷大学の場合、併願者が多く、入学時点で第一志望でない学生も入学している。より早い段階で、大学での勉強の仕方を学び、自信をつけ、勉強の面白さを感じるように工夫している。こうした環境を与えただけで、学生が熱心にグループワークをするはずがないため、先生達の授業スタイルが双方向型に変わってきているのかを尋ねてみた。FDや教育改善研究会の効果もあるが、最近は高校時代に参加型の学びを経験した学生が多く、大学の先生が一方的に講義しているだけでは満足しないケースが多い。そうした学生の要望をうけて、先生たちがこうした授業スタイルを取り入れるように意識が変わってきているという。和顔館はガラス張りのスタイリッシュな建物で、学生達が活き活きとグループで学んでいる姿が、自然と、他の学生や教員の目にも触れやすい。そうしたことで一層、教員も学生も多様な教授・学習スタイルを取り入れようとするのではないかという印象を受けた。平安学園との法人統合上記以外にも様々な取り組みをこの5年間に行っているが、2015年の平安学園との法人統合も話題を集めた。平安学園はもともと建学の精神を共有する約70校からなる龍谷総合学園というグループの関係校の1校としてこれまでも推薦枠で多くの学生が入学していた。法人合併を機に、付属化し、毎年200名強の学生が内部進学するようになった。平安高校に対しては、「3教科型の受験勉強ではなく、5教科型の勉強をしっかりしてきてほしい」と要望を伝えている。大学に入ってから様々な分野で勉強するときに、5教科型の幅広く学んだ経験のある学生のほうが伸びしろが大きい。また、就職する段階でも、企業の試験、公務員試験、教職試験等をうけることを考えても、3教科型しかやっておらず、数学は全くダメというようではやはり弱点になる。こうした要望を伝えたり、授業内容について高校の先生と勉強会をしたリクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016図表1 第5次長期計画 第1期中期計画 主な実施事業※進路決定率=就職・進学等進路決定者/就職・進学等希望者で算出。龍谷大学第5次長期計画第1期中期計画総括より編集部にて抜粋教育社会貢献研究大学運営・財政教学改革国際化政策新たな「課外活動支援方策」を展開93.3%93.6%93.8%94.7%96.5%課外活動支援入試政策学生生活支援キャリア支援2010年度2011年度2012年度2013年度2014年度2015年度第2期中期計画の主な課題政策学部開設短期大学部こども教育学科開設「龍谷大学入試基本戦略」策定多様な「キャリア支援施策」を開始龍谷ソーラーパークを開設研究者データベースの構築世界仏教文化研究センターの設置学校法人平安学園との法人統合「広報基本戦略」の策定新しい「龍谷ブランド」の開発「財政基本計画」の改訂「社会連携・社会貢献連絡会議」の設置社会連携推進会議を設置「社会連携支援室」を開設「障がい学生支援推進委員会」を設置「障がい学習支援室」の設置「障がい学生支援委員会」の設置教養教育センターの設置国際学部を深草キャンパスに設置農学部を瀬田キャンパスに設置文学部臨床心理学科開設進路決定率※の推移◆龍谷スタンダードの形成◆既存学部の改革◆大学院改革◆グローバル化の推進◆課外活動の充実◆志願者の安定的な確保策◆高大連携方策◆自律的学生支援◆世界的研究拠点の整備◆COCへの対応◆学内シーズの統合化◆ガバナンス改革への対応◆IRの実質化◆ブランディングの発展的展開◆財政基本計画の骨太化20162016特集 進学ブランド力調査

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