カレッジマネジメント200号
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75いくうちに、知識を知恵に変えていく力ができてくると思っています。社会に出たときの強さや逞しさ、いわゆる人間力をつけるということ。それを『経験値教育』として教育の柱としています」(川島学長)。COC事業の運営の中心となる地域連携推進機構の副機構長を務める大江篤教授は、「経験値」を次のように整理する。「COCに申請した段階では、『知識を知恵に変える力』を経験値として可視化を目指していたが、今は、『知識』、『知識を知恵に変える力』、『知恵』の3つの力を「経験値」とし、高めていくのが経験値教育と考えている。今の高大接続改革の『新しい学力観』に対応しています」。4学科を横断する「つながりプロジェクト」COC事業の一環として今年度、4年制の2年生の必修で、地域の課題解決型の科目「つながりプロジェクト」がスタートした。4学科の380人を21のプロジェクトに分け、全員に尼崎市内をフィールドに1年間、学ばせる。ポイントの1つは、1プロジェクト平均18人の学生が、4学科の混成であることだ。子育て分野でも、高齢介護分野でも、就職後はそれぞれの職場で、他職種との連携が求められる。そこで役立つ経験値になるだろうと言う。「例えば、これまで、児童教育学科の学生に小学校の校区内を歩かせ、子どもが危険だと思う箇所を写真に撮り、子ども達にとって安心・安全なまちづくりを考える演習をしていました。ところが、人間看護学科の地域看護学のところが重要だと考えている。例えば、児童教育学科の学生が、保育所実習で乳幼児の保育について学びます。現場に出ても、学生の意識にのぼりにくいのが、熱を出した子どもを、働いている保護者に迎えに来てもらう電話をかけることも保育士の仕事だということです。そのとき、自分も働く女性として、迎えに来てもらうことの大変さを理解できるかどうか。社会の問題として考えぬく力を身につけるのが『経験値教育』です」(大江教授)。こういった学びは、事務職など、資格や専門と関係ないところに就職した場合でも必ず役に立つだろう。食物栄養学科の管理栄養士課程で教える川島学長はこう言う。「卒業生を見ていると、病院等で管理栄養士として働く学生も、事務職や営業職で一般企業に就職する学生も、勤めを辞める理由は同じ。人間関係。だからこそ、在学中に人間力をつけるためには、いろいろな場所で、多様な体験をし、経験値を高めることが必要だと」学生も、授業の中で地域診断の実習があり、高齢者や子ども達にとってのまちの課題をフィールドワークしている。これまでのカリキュラムだと4年間一緒に学ぶことのない学生が、同じ地域のことを考えると、複眼的な視点で高齢者から子どもまで地域の課題やその解決が見えてくる。そこにこの科目のめざすところがあります」(大江教授)。学生だけでなく担当教員も学科混成だ。「地域で活躍されている方に非常勤講師としてお願いしているプロジェクトもありますが、学内の教員が担当するものは、例えば児童教育学科の私と、人間看護学科の先生と、総合健康学科の先生というように、3人で持ちます。学生は実習に行けば、病院や施設、学校園の中での体験はおのずからできます。しかし、実習先の外に目を向けようというのが『つながりプロジェクト』です。従って、一つの地域課題に複数の専門領域の教員がサポートできるリクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016人間健康学部人間教育学部短期大学部総合健康学科人間看護学科食物栄養学科児童教育学科生活文化学科幼児教育学科2単位 通年つながりプロジェクト大学基幹科目生命を考える・大学の社会貢献・女性と社会経験値教育「知識」を「知恵」に変え自身を「変える力」を養う循環型教育入学卒業

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