カレッジマネジメント201号
32/68

32今年から3つのポリシー(AP・CP・DP)の策定が義務化され、文科省によるガイドライン策定を受けて、現在大多数の大学は3つのポリシーをどう実質化するかの作業で忙しい。カレッジマネジメント198号では、関西国際大学の濱名篤学長に「三つのポリシーをどう実質化するか」について寄稿してもらい、そのポイントを解説してもらった。その中で学長は、関西国際大学は「既に3つのポリシーの見直しを行い、本年4月には新ポリシーを公表する予定で動いている」と語り、実際に同大学のHPには3つのポリシーが公表されている。今回は、このようにいち早く3つのポリシーの見直しと公表を行った関西国際大学の従来の3つのポリシーについての課題、新しいポリシーの検討と策定をするにあたっての困難や進め方、具体的な内容と特徴、作成することで気づいた新たな発見、そして今後の課題や展望について濱名学長にインタビューを行い、それをリポートする。コンピテンシー重視で共通教育と専門教育の構造見直し関西国際大学では従来からかなり詳細な3つのポリシーが策定してあったという。それは、全学共通教育と専門教育という日本独特の方式に基づいて、ジェネリックな能力・スキル修得と専門知識修得との2階建て構造の上に成り立つポリシーである。もともと全学としてKUIS学修ベンチマークが設定されており、それに基づいて全学ポリシーが策定されていた。従って、全学ポリシーをガイドラインとして各学科で教育目標を設定していた次第である。KUIS学修ベンチマークに見られるように、関西国際大学はコンピテンシーを重視する大学であり、そこに掲げている大項目(1)自律できる力、(2)社会に貢献できる力、(3)心豊かな世界市民としての資質、(4)問題解決能力、(5)コミュニケーション能力、(6)専門的知識・技術のうち(1)から(5)までがコンピテンシー領域と分類でき、(6)は若干コンピテンシーとは異なった専門領域としての意味が強くなる。しかし、学長によれば、どうしても日本型の2階建て方式の場合、コンピテンシー以外の専門知識という2階部分が細かくなりすぎ、それを実際にアセスメントが可能かということが疑問として浮かび上がってきたという。新たな関西国際大学の3ポリシー策定を進める上での基本的なコンセプトは、各学科のプログラムを意味する「学位プログラム」である。実際に、もし、学位プログラムに関して2階建て方式のままで3ポリシーを策定するとしたならば、目標が多すぎるため、日常的な教育活動や成果を検証可能とは必ずしもいえないのではないかと考えたリクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016コンピテンシーを重視した、2階建てから1階建てへの構造の見直し濱名 篤 学長関西国際大学C A S E1

元のページ 

page 32

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です