カレッジマネジメント201号
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33と学長は指摘した。そこで5つのコンピテンシーと1つの専門知識・技術を並列にし、特に専門知識・技術においては各学科のディシプリンを重要視しながらも、それ以上に活用する力に焦点を当てることにした(図表1、図表2)。具体的には、学生の出口のイメージを考えて策定していく、そのためにはどのような教育を提供し、どのような学生を入学させ、何が入学時に必要かというようなDP→CP→APという順番での作成スケジュールで進められることになった。現在3ポリシーを策定中の大学の中には、APから作成していこうとしている大学もあるかと思われるが、関西国際大学の事例からはDP→CP→APという順番が合理的であることが理解できるだろう。このようにスムーズに3ポリシーを策定して、公表していると思われがちであるが、それでもやはり策定に当たっては困難に直面したとのことである。作成に当たっては、当初は委員会方式あるいはプロジェクト方式の大人数で開始したが、大人数では合意にも作成にも時間がかかり、まとまりにくいことに気づき、途中から学位プログラムの責任者である学部長・学科長に原案の作成を任せ、学長との10回強にも上るメールでのやり取りをしながら進めてきた。その際には、全学部長・学科長にもCCでやり取りが届くようにした結果、お互いの良い案を参照し、自分のところの作文修正に活かすというような生産的な方向性へと向かった。こうしたプロセスを経て作成された3つのポリシーと後述するアセスメントポリシーは、最終的に学科での審議了承を経て、執行部会議、大学協議会、各学部教授会で審議され、学長決定へと進んだ。会議で原案を作成するよりは、一貫性と整合性のある学位プログラムに基づいたポリシーを作成する上では、このような当事者に直接関与させる方式が有効であったと学長が評価していることが印象的であった。大学という組織は大舞台の委員会方式で、重要な案件には対処し、策定しようとしがちであるが、むしろ、各プログラムに専門知識と責任のある関係者を直接関与させる方が円滑に進捗することを示唆していると思われる。こうしたプロセスを経て作成されたDPの特長は、全学DPに掲げている前述した6つの教育目標を達成するために設定されているKUIS学修ベンチマークを参照しながら、それらをそれぞれの学位プログラムレベルに落として策定しているとまとめられる。次に、同大学のCPの特長としては、リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 20162月4年3年2年1年9月3月9月3月9月3月9月入学aA学科KUIS学修ベンチマーク(5項目)見直し前求める力は学科ごとに異なる2階建てから1階建てへの構造の見直し全ての学科に共通の6つの力を求めるB学科全学科bcaABCDEFbcde見直し後図表1 6つの教育目標とその達成度評価図表2 関西国際大学におけるディプロマ・ポリシーの構造見直し学部・学科ごとに教育目標(項目数は学科で異なる)自律性KUIS学修ベンチマークによるチェック多様性理解社会的貢献性課題発見・解決力コミュニケーション能力毎学期末の自己評価+アドバイザー面談専門的知識・技術の活用力成績+修得単位数卒業研究到達確認試験学科ごとの専門的知識・技能全学共通つのポリシーの具現化特集

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