カレッジマネジメント201号
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37構成され、さらに審議機関として教育・学生支援会議がおかれている。その中でも、教育改革を推進する中心的組織が、「教育企画室」と「教育・学生支援会議」である(図表1)。教育企画室は、機構長直属の教員組織として、FD/SD/教学IRの研究と実践を行うとともに、学内の教育企画を先導する役割が与えられている。例えるならば、この教育企画室は、愛媛大学の教育改革のエンジンとして、学長と教育担当理事の教学ガバナンスを支える役割といえよう。また、教育企画室は、2010年3月に、文部科学大臣から教育関係共同利用拠点の認定を受け、「四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)」を運営するとともに、FDやSDを全国的に推進する役割を果たしていることでも知られている。他方、「教育・学生支援会議」は、機構長や各センター長のほか、各学部の統括教育コーディネーターが委員となる教育・学生支援機構の意思決定組織である。この教育・学生支援会議での決定事項は、役員会や教育研究評議会に提起されるため、実質的な全学的な教育改革の決定機関となっている。この教育・学生支援会議は月2回開催され、統括教育コーディネーターが加わっていることから、各学部との実質的な調整もこの会議を通じて進められている。さらに、教育・学生支援会議で正式に議題としてとりあげる前に、教育コーディネーター研修会等で具体的な検討が行われることもあり、各学部・学科のカリキュラム運営単位への議論は共有されている。つまり、教育コーディネーター研修会と教育・学生支援会議を通じて、全学の教育改革の方針は、各学部・学科に具体的・実質的に共有される体制となっているのである。「教育・学生支援機構と教育コーディネーターによって、学部横断的な議論を行うことで、情報の流通が良くなり、全学的な議論が行いやすくなっている」と大橋学長は話す。愛大学生コンピテンシーと3つのポリシー愛媛大学は、2007年度に各学部・学科の3つのポリシーを定めた。これは、中央教育審議会が各大学に3つのポリシーの一体的な策定を求めた「学士課程答申」(2008年12月)よりも早く、先駆的な取り組みであった。この背景には、2004年の法人化を背景に、2005年度に定めた「愛媛大学憲章」を実現するための教育システムを構築するため、教育に関するポリシーを一貫的に整備することを目指すとともに、同時期に制度化された機関別認証評価に対応することの2つの目的があったとされている。教育コーディネーター研修会を通じて、各学部・学科の3つのポリシーを策定し、2008年にはそれを公表している。2007年度の3つのポリシーの策定後は、「3つのポリシーの進化(深化)と内部質保証」として、カリキュラムの一貫性・体系化を重視した教育改善に力をいれてきた。教育コーディネーター研修会のテーマは、「カリキュラムマップの作成」(2008年度)、「カリキュラムアセスメントと単位の実質化」(2009年度)、「PDCAサイクルと単位制度の実質化」(2010年度)となっている。カリキュラムアセスメント・チェックリストを作成し、各学部・学科の現実のカリキュラムと授業科目が、DP、CPにどのように対応しているか、アセスメントを行ってきた。2010年度からは、教育コーディネーター研修会を通じて、各学部・学科の自己評価とピア評価によってディプロマポリシーの妥当性の検証を行っている。DPの要素に対して、どの科目が対応しているかを検証し、カリキュラム・チェックリストとしてリストアップすることで、ディプロマポリシーの達成の可視化が進められた。カリキュラムの体系化を実質化リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016図表1 教育改革の推進体制つのポリシーの具現化特集学長役員会教育企画室密接な連携&サポート教育企画課教育学生支援部入試課学生支援課就職支援課教育支援課教育センター事務課教育・学生支援会議共通教育センター英語教育センター教職総合センター学生支援センターアドミッションセンター機構長(機構長は理事(教育担当)が兼任)愛媛大学教育・学生支援機構

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