カレッジマネジメント201号
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42リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016ブランドビジョン「響き合い、高め合うスパイラル」を通して具体化され、さらに、大学のイニシャル「MU」で作られたブランドマークには、武蔵野大に関わる全ての人々が生み出す多彩な「世界の幸せのカタチ」が象徴的に表現されている(図表2)。3ポリシーの再構築のための体制とプロセスこうした「新ブランド」の策定が、冒頭の3ポリシーの再構築にもつながったのである。ともすればロゴの類は広報用のツールとして捉えられがちだが、武蔵野大の場合は大学のスタンスを体現するメッセージとして集約させたからこそ、その世界観の体現者を育成するためのマイルストーンとして、3ポリシーの再構築へとスムーズに連結していったのだ。もとより武蔵野大では2010年度に全学カリキュラム改革を実施し、3ポリシーが策定されていた。しかし、所要単位や卒業要件を中心にする学科や学則の「人材育成目標」を中心に記載する学科がある等、必ずしも理解が統一されていなかった。結果的に「出口でこういう力を備えた学生を輩出するという方針が必ずしも明確でなく、成果に対する検証が難しかった」と西本学長は言う。そこで2015年5月、学長を中心に、副学長・教務部長・学生部長・キャリア開発部長・教養教育部会部長・大学事務部長・学務課で構成された「ディプロマポリシー検討会」を発足させた。検討会が主導したDPの作成手順は図表3の通りだ。DPの課題抽出から始まり、意見募集・ヒアリング、学部・学科への策定依頼、そして検証フローの構築まで、丁寧なステップが踏まれている。このプロセスの中で策定されたのが、図表4に示す全学DPだ。新たなDP作成にあたっては、まず「新ブランドステートメントを具現化した戦略となるもの」が目指され、両者の関係性に注意が払われた。さらに、学士力や社会人基礎力等を参考に、大きく4つの力(①知識・専門性、②関心・態度・人格、③思考・判断、④実践的スキル・表現)が設定され、各「力」はより詳細な能力要件として整理がなされている。こうして全学のDPが定まれば、次は、各学科の3ポリシー策定(見直し)が必要になる。各学科には、全学DPを参照しつつ「学生や受験生に理解されやすいように」図表3 ディプロマポリシー作成手順図表4 全学DPとそこで定義されている能力①既設のディプロマポリシーの課題抽出②他大学の先進事例を分析③教職員から意見を募る(武蔵野大生の弱い箇所、武蔵野大生の個性)④企業ヒアリング(企業の求める力を理解する)⑤全学のディプロマポリシーを策定し、各学科DP作成の基準とする⑥学部・学科に策定依頼し、その内容が全学の基準に見合っているか検証する⑦DP/CPの検証フローの構築■学びの基礎力を基盤とした専門能力■他者と自己を理解し、自発的に踏み出す力■課題を多角的に捉え、創造的に考える力■多様な人々のなかで、自らの考えを表現・発信する力「『アクティブな知』を獲得し、創造的に思考・表現する力を備えて、世界の課題に立ち向かう。」知識・専門性教養基礎学力思考・判断情報分析論理的思考判断力専門能力関心・態度・人格自己認識力他者理解力課題解決力創造的思考力課題発見力実践的スキル・表現コミュニケーション力語学力主体性実行力ストレスコントロール力表現力人格形成使命感傾聴力リーダーシップチームワーク力

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