カレッジマネジメント201号
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45リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016はり大学の目的は、社会の中で自分らしく働く力を身につけることだと思うのです。本学では利己主義ではなく、全体に埋もれる歯車のような滅私奉公でもなく、社会の中で自分の能力や個性をいかんなく発揮することで社会貢献でき、さらに個性が磨かれるといったシナジー効果を体験する教育を行っています。具体的には、学生それぞれが自分らしさを磨きながら、社会にも貢献するにはどうすれば良いか取り組んだプロジェクトとして、地元の障がい者のメイクアップ教室をビジネスとして展開しました。最初はボランティアから始めましたが、ボランティアでは継続性に問題があることも学んだようで、ビジネスでやりたいということでした。学生が自ら問題点を洗い出し、本学の卒業生のメイクアップアーティストにコンタクトを取り、1回500円で実施しました。また、社会学部が2012年度から実施している「社会学部学生リーダー育成プロジェクト」も挙げられます。普段の授業に加えて、正課外で4つのプログラムに参加しながら地域の課題解決に取り組むものです。なかでも「社会調査応用プログラム」は、大学・地域・企業の方と連帯して様々な活動を行っています。例えば、久保惣美術館を中心とした地域を「美術館のあるまち」としてブランディングし、来訪を促進しようという「和泉・久保惣ミュージアムタウン推進協議会」を和泉市が主催しているのですが、本学の学生がこの協議会に参加し、学生がアイデアを提案するといった活動を行いました。上級生、教員、職員が三位一体でサポート社会の中で自分らしく働く人間になるためには、知識やスキルだけでなく、人間力が大切です。人間力とは、コミュニケーション力、判断力、思考力、表現力と多様ですが、最も大事なのは学ぶ姿勢です。しかし学ぶ姿勢は、教員だけが講義で教えられるものでもないように思います。そこで、本学の特徴である“一体感”に着目しました。本学は規模的にも中規模で、以前は他学部のゼミに参加できたほど歴史的に学部間の壁が低く、教員・職員・学生の距離もとても近いという特徴があります。この一体感を活かし、上級生、教員、職員の三位一体教育プログラム「エルダーシステム」を、4月から経営学部で試行的にスタートさせました。これは、初年次用の全クラスにおいて、上級生と職員が一緒にプログラムを企画し、上級生が下級生を指導し、教員は横でサポートするというものです。今回は、本学で4年間どのように学び卒業したら良いかをテーマにグループワークを行ったのですが、上級生の予習復習の仕方や、教員との接し方を見て、大学で学ぶとはどういうことかが分かりやすいと好評でした。また、このプログラムを受けた1年次生の3割が自分もエルダーになりたいと答えています。また、エルダーである上級生の学生も人間力が養われたと答えています。2017年度からは、このエルダーシステムを全学的に導入しようと、8月の職員研修で説明したところです。さらに、社会に出ると一つの学問領域でできる仕事はないので、社会に出て自分らしく働くための教養という切り口で、出口志向の学部横断プログラムの整理に取り組んでおり、2017年度から段階的にスタートする予定になっています。多様性を受け入れる伝統本学は大阪の「川口外国人居留地」をルーツとし、多様なものを受け入れる土壌がもともとありました。キリスト教精神の「自由と愛の精神」から、この地でみんなが何かをしようとする自由な学風が確立されています。自由という意味について、経済学者アマルティア・センは「人間の能力をいかんなく発揮できることが自由だ」と言っています。ぜひ学生にもそういう自由を味わってほしいと思います。今後の社会を見通した時、目先の利益追求だけでは個人も組織も行き詰まります。従って本学の特徴である社会性が強みになっていくと思います。グローバルでも地域でも社会貢献し、その中でビジネスや自分磨きを学んだ人材が、今後の社会では必ず必要になります。自分も社会も幸せになる道を切り開くために、学生にはそのための勉強をしてほしいと思います。

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