カレッジマネジメント201号
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51リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016が、学力評価テストの導入に当たる2020年に卒業することになる。従来と異なる基準で入学した層が、在学中にどう成長し、どう就職するのか、1つのサイクルを構築することができるわけだ。新体制を迎える前にPDCAを回すには最後のチャンスである。学力の3要素を測る目的で今年度入学者選抜を改革する私立大学をピックアップし、お話をうかがった。従来のAO入試の課題を克服する(鎌倉女子大学)鎌倉女子大学では従来からプレゼンテーション型のAO入試を実施していたが、「高校までの実績アピールに終始しやすく、志望理由や入学後のビジョンを語れない学生が多い」という課題認識を抱えていた。それは学生の質というよりも、選考のプロセス上の問題だったと河村和宏入試・広報センター長は語る。「それまで頑張った経験やそこから学んだものはある。でもそれを入学後どう生かすのかを話せない。入試プロセスもその抽出を重視したものではなかったので、入学後の教育へのミスマッチが散見された」。一方で2020年以降の共通テスト体制に備え、新たな枠組みでも選ばれる大学になるために準備しておく必要もあった。自校にフィットする多面的評価を見いだし検証する必要性である。そこで導入されたのが「AO入試(高大接続重視型)」である。家政学部管理栄養学科以外の全学部学科で実施され、募集定員は全体の1割程度。事前相談の後、書類提出と審査があり、試験初日は集団討論とプレゼンテーション、2日目に小論文と面接を課す。各選抜においては学科ごとのアドミッション・ポリシーに関連したテーマを設定し、学科の学びに対する理解度も同時に問う。各選抜方法の内容については高校の意見も多く取り入れているという。「高大接続と言うからには、高校が何を求めているのかをベースにしないといけない。大学教育と高校教育をつなげる入試として試行錯誤しながら創っている」。また各評価手法で何をどのくらい評価するのか、パーセンテージで事前に明示されているのが大きな特徴だ。評価の比率は図表1に示す通り。手法別に見ると集団討論の比率が40点と高いが、それは集団討論という評価手法がカバーする、測りたい能力の幅が広いからであるという。こうしたルーブリック評価の配点まで公表している大学は必ずしも多くないが、「ルーブリックに客観性を持たせるには、情報を公開する必要がある。公表することで、本学が何を重視するのか、高校へのメッセージが明試験課題配点評価観点SABCD調査書5点基礎学力(知識・技能)5点4点3点2点1点小論文15点基礎学力(知識・技能)5点4点3点2点1点思考力5点4点3点2点1点表現力5点4点3点2点1点面接15点思考力5点4点3点2点1点判断力5点4点3点2点1点表現力5点4点3点2点1点プレゼンテーション25点APの適合性10点8点6点4点2点思考力5点4点3点2点1点表現力5点4点3点2点1点情報機器の運用能力5点4点3点2点1点集団討論40点判断力10点8点6点4点2点主体性10点8点6点4点2点多様性10点8点6点4点2点協働性10点8点6点4点2点図表1 鎌倉女子大学AO入試(高大接続重視型)各審査の評価配点

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