カレッジマネジメント202号
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37おいてどのような意味を持つのか。この問いの検討から始めることにしよう。調査では、勤務先の企業が設定している人材要件について複数の側面から回答してもらったが、そのなかの1つに「自社オリジナルだといえるもの」か、「他社にもよく見られるもの」か、4段階尺度で答えてもらう項目がある。回答分布は、「自社オリジナル」だという者が1割ほど、「やや自社オリジナル」が4割強、「やや他社にもよく見られるもの」も同じく4割強、「他社にもよく見られるもの」と回答した者が1割弱。そしてこの回答別に、連載1回目でも取り上げた「勤務先の採用面接への評価」(「うまくいっている」かどうか)を整理すると、図表1のようになる。ここからは、事務系か技術系かによって、効果の表れ方が異なっていることが見えてくる。技術系総合職の場合、オリジナルな要件が功を奏する一方で、他社と共通するような要件でも納得のいく選抜結果へとつながることがある。他方で事務系総合職の場合は、オリジナル性を打ち出す要件こそが「うまくやっている」という面接結果に結びつきやすい。要件のオリジナル性は、専門が見えにくい領域でこそ重要になるということなのかもしれない※2。サンプル数の物足りなさといった問題を含む分析であるため、今少し慎重になる必要があることは言うまでもない。ただ、状況によって望ましい要件が異なっている可能性を想起させるには、十分な証左であるように思う。いたずらにオリジナル性を追求すればよいというものではない。そして、以上のことは、次のような文脈でアドミッション・ポリシーへの示唆にもなり得る。即ち、組織自体の特徴を打ち出したほうが望ましいのか、領域としての特徴を打ち出したほうが効果的なのか、自覚することが重要である。文系なのか、理系なのか。あるいは資格につながる領域なのか、違うのか。所属組織の特徴に照らし合わせながら、以上の点を吟味する意義は小さくないと考えられる。選抜性の差がもたらす相違点要件効果の違いについて、もう少し視野を広げながら見てみよう。図表2は、要件の「数」と「見直し状況」、そしてさらに要件以前の問題という側面もあろう「結局、既存メンバーと同じような人材が好まれているのかどうか」という観点リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 20170102030405060708090(%)(%)(4)他社にも見られる(3)やや他社にも見られる(2)ややオリジナル(1)オリジナル0102030405060708090(4)他社にも見られる(3)やや他社にも見られる(2)ややオリジナル(1)オリジナル■事務系総合職図表1 人材要件の内容別にみた自社面接結果評価■技術系総合職ややうまくやっているうまくやっているややうまくやっているうまくやっている

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