カレッジマネジメント202号
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7リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017の状況、除籍者・中途退学者の状況、休学者の状況、経済的状況の急変者に対する対応についてである。回答校数と回答率は、国立大学75校(87.2%)、公立大学61校(72.6%)、私立大学358校(57.9%)、公立短大11校(64.7%)、私立短大198校(58.1%)、計703校(61.3%)であった。多忙な中で多くの集計を含む煩雑な調査にご協力頂いたことにこの場を借りて御礼申し上げる。以上の調査から浮かび上がった休学や中退の問題と大学の対応について紹介したい。中退と除籍の相違についてまず、中退と除籍の定義は大学により相違していることが明らかになった。大別すれば、中退は本人の意思に基づくもので、具体的に言えば、退学届を提出した場合が中退扱いとなる。除籍はそれ以外とする大学が多いが、懲戒の場合は中退とする大学と除籍とする大学に分かれる。また、授業料(4)将来の借金を恐れ、貸与奨学金を借りない傾向(ローン回避)からアルバイトに時間を取られ、学業不振になったため(5)経済的困窮が心理的圧迫となり、学業不振や学校不適応になったため(6)奨学金を保護者や家族が使ってしまい、授業料を払えなかったためまた、就職や進路変更を理由とする中退者の中にも、その背景要因として経済的困窮がある場合もある。このように、単一選択式の退学理由を尋ねる調査では経済的理由として挙げられないが、実際には経済的要因が複合的に絡んで中退に至るケースがある。私学の約半数が休学中も学費納付経済的理由による休学や中退や除籍の防止のための大学の取り組みとして、授業料減免や給付型奨学金を用意したり、延納・分納を認める、あるいは本人もしくは保護者に連絡をつけ徹底した防止策を講じる大学もある。これに対して、学則を機械的に適用して期日までに授業料未納の場合は直ちに除籍する大学もある等、著しい差が見られる。休学や中退・除籍に関する扱いが大学によって差異があることと関連して、休学中の授業料の徴収状況を図1に示した。国公立大学では原則として授業料を徴収していない。「その他」は、学期途中で休学した場合に徴収するケースである。私立大学の場合には不徴収は53%と約半数にとど滞納については多くの大学では除籍にしているが、中退とする大学も見られる。全体として約半数の大学が除籍について、「死亡」「懲戒」「修学可能年限の超過」「学費未納」以外の理由で除籍としている。このように、中退と除籍の区別について統一基準・定義は存在しない。経済的理由による中退と除籍純粋に経済的理由での中退や除籍は、学費・生活費が負担できない場合と考えられる。経済的理由が絡む複合的な要因による休学や中退には次のような場合がある。(1)成績不振により奨学金が支給されないため(2)留年が確定した場合、保護者が次学期以降の学費を負担しないため(3)学費や生活費にあてるアルバイト過多で、単位が取得できないため020406080100%私立短大(N=198)公立短大(N=11)私立大学(N=356)公立大学(N=60)国立大学(N=75)全体(N=700)■■ 1.全額を納付■■ 4. 4分の1を納付■■ 7.休学中の学生から授業料はとらない■■ 2.半額を納付■■ 5.一定額を納付■■ 3. 3分の1を納付■■ 6.その他2%1%1%13%15%17%17%9%91%11%10%9%61%14%53%85%88%10%8%12%62%2%1%1%1%2%1%特集 中退予防の処方箋図1 休学中の授業料の扱い
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