カレッジマネジメント203号
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26リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017なお、新たな機関の制度化も見据えた今後の高等教育全体の在り方については、現在中央教育審議会大学分科会において審議が進められている。同分科会では、まずは新たな機関を含めた各高等教育機関の役割・機能強化に関する事項を中心に検討を行い、本年2月には、その「論点整理」を公表している。「論点整理」では、社会経済状況の変化等も踏まえ、今後の高等教育において特に重視すべきは「知識・技能を学んで修得する能力だけでなく、学んだ知識・技能を実践・応用する力」や、さらには「問題発見・解決に取り組み、新たなモノやサービスを生み出し社会に新たな価値を創造する力」の育成であるとしている。また、今後の高等教育の機能強化の基本的方向性として「①新たな価値創出の基盤となる創造的な教育研究の高度化」及び「②社会の変化、地域や産業界の多様な要請を踏まえた実践的な教育の充実」の2つの観点から充実を図ることが、特に必要であるとしている。その上で、既存の各高等教育機関の役割や機能強化の方向性を示すとともに、特に職業教育における各高等教育機関の役割と新たな高等教育機関の関係について、以下のように整理している。即ち、職業教育にも多様な分野があり、また専門性のレベルや卒業後に働く組織での役割の違いにより、必要とされる教育の内容も異なっている。例えば、医師・教員・保育士・看護師等、資格取得のための教育が学問分野として確立しているものや、伝統的な実学教育であった工学・農学をはじめ様々な分野の人材育成、特定の職業への就職を前提としない幅広い教養教育・専門教育等は、これまでも既存の高等教育機関(大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校)が、各学校種の強み・特性に応じて行ってきている。こうした教育は今後も引き続き重要であり、それぞれの機関におけるこれらの機能の一層の充実を図る必要がある。一方、現在の職業教育について、産業界からは、より高度で実践的・創造的な教育や、成長分野等で必要とされる人材養成の強化を求める声もある。新たな高等教育機関はこうした声も踏まえ、ある分野の専門業務を牽引し、又は新規分野を開拓する人材を育成するため、産業界と密接に連携して高度かつ実践的・創造的な教育を行おうとする場合に最も適した教育機関として創設が検討されているものであり、従来の高等教育機関における職業教育に加えて新たな選択肢を提供するものでもある。「専門職大学」等については、以上のような制度の趣旨、位置付け・役割を踏まえながら、その制度設計の具体化を図っていく。今後は、「専門職大学」等の基本的な設計等を定める学校教育法の改正法案を、現在開会されている通常国会に提出する予定である。国会で承認されればその後、速やかに具体的な設置基準等の検討・公表を行い、さらにこれに基づく設置認可審査の手続き等を進め、平成31年度からの制度施行を目指すこととしていきたい。※本原稿の情報は2017年2月段階のものである。高等教育全体の在り方と新機関の役割平成31年度からの制度施行を目指す

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