カレッジマネジメント203号
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35リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017(望月由起 昭和女子大学 総合教育センター准教授)「現在の職種よりも有利な転職への教育」を行うものである。このように、在学時に身につけた能力やスキルの賞味期限が切れないよう、卒業生に対するフォローもしっかりと行っている。山中理事長は「授業料は在学期間の分だけでなく、生涯の学びに対するもの」と言うが、こうした信念はメイ・ウシヤマ学園の職業教育にも強く表れている。ビューティビジネスのグローバル化に伴う展開メイ・ウシヤマ学園の職業教育は、卒業生も含めた多様な年代の学生に対してだけでなく、多様な国々の学生に対しても展開されている。アジア地域の開発途上国、特に経済発展が進む諸国では、ビューティビジネスやトータルビューティに対する需要が急速に高まりつつある。こうしたビューティビジネスのグローバル化に伴い、様々な国でリーダーとして活躍できる人材が求められており、メイ・ウシヤマ学園ではそれに応える人材の育成にも長年力を入れてきた。世界10カ国以上の学生が「インターナショナル・ビューティシャン」を目指して学んでおり、在校生や卒業生との国際交流を通じて活躍の場を広げている。サービス業におけるセンスやスキルは、その国の文化によるところが大きい。日本の職業教育、特に美容教育の水準は高く、海外移転も可能なレベルに達している。しかし、現地に日本の学校をそのまま移転・設立することは、思想教育も含んだ文化が根付いているが故に難しく、現地化していかなければならない。特にアジア地域は思想教育が強く、その傾向が強いという。こうした状況を踏まえ、メイ・ウシヤマ学園では、教員養成やシステム・ノウハウ提供を行い、ロイヤリティビジネスに特化している。中国や韓国の美容学校で教員となる人材を育成するのみならず、海外で経営者としてビューティービジネスを展開する人材も増えているという。直営のサロンで、専門課程生は「技術」、大学院生は「経営」のインターンシップを取り入れているが、多国語インターナショナルサロンもその中には含まれている。メイ・ウシヤマ学園では、「専門職大学(仮称)」の構想もある。専門職大学院・専門職大学(仮称)・職業実践専門課程を通して、高度化・実践化へ進化する専門職キャリア教育をさらにグローバルに推し進め、実践的リーダーを育成していくという。職業教育ではカリキュラムや教育システムのみならず、先輩が後輩を教える連携リレー教育も重要である。専門学校+大学院大学の体制により、これから実社会に出ていく学生(主に専門学校に在籍)は、学生経験以外の多様な経験をしている先輩、しかも自分が将来希望する業界での経験が豊かな先輩の姿から学ぶことができる。実践経験豊かで専門技術にも秀でているような学生(主に大学院大学に在籍)にとっても、後輩に「教える」「伝える」経験は自身の成長につながる。今後の専門職大学(仮称)設置が可能となれば、「人財メーカー」としての環境や雰囲気もより充実したものとなるだろう。特集日本型職業教育の未来※この法律で「産業教育」とは、中学校(義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部を含む)、高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む)、大学または高等専門学校が、生徒または学生等に対して、農業、工業、商業、水産業その他の産業に従事するために必要な知識、技能及び態度を習得させる目的を持って行う教育(家庭科教育を含む)を言う。図表3 メイ・ウシヤマ学園の専門職生涯キャリア教育

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