カレッジマネジメント203号
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38リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017で、それを実現する教員を育てる取り組みを進めているのである。JICAと連携し課題解決人材を育成する大学院大学2005年4月、学校法人コンピュータ総合学園は、高度ICT技術者を育成する専門職大学院として、情報技術研究科情報システム専攻の1研究科1専攻からなる神戸情報大学院大学を創設する。電子工学の技術教育からスタートした建学の経緯と、実務・実践的教育を重視する校風のなか、これまで同法人では、大学の設置を選択することなく、神戸電子専門学校での職業人養成一筋に取り組んできた。しかし、ICT技術の急速な普及と進歩の中で、産業界が高度なIT人材育成を求めるようになる。そのなかで、IT人材ニーズ調査などから、大学の情報工学の教育は、産業界が必要とする実践的な高度IT人材の要請とミスマッチが生じていることが指摘されていた。このことを背景に、産業界から高度情報技術者を養成する専門職大学院の設置が求められ、神戸情報大学院大学を設置することとなったのである。この経過から、創設当初は、産業界の要請を忠実に反映した高度IT人材を育成することを目指したと、福岡賢二副学長は当時を振り返る。しかし、実際に大学院を開設したあと、学生募集は苦労することになる。当初、進学者層として想定していたのは、①情報工学系学部の卒業生、②企業でIT職に就いていてその能力の高度化を目指して進学する人であった。ところが、①のタイプは、実践的な専門職大学院ではなく、これまでどおり学術系大学院に進学する傾向は変わらず、②のタイプは、会社に勤めながら大学院で学んでも社内で評価されない風潮が日本の企業にはあることなどから進学希望者になりえなかったのである。そこで、大学院のあり方を再検討したと福岡副学長は話す。何のための大学院なのかまで立ち返って検討し、国際的な観点で革新的な探究教育を行うという方針を再設定し、2010年に、課題解決型の教育実践に取り組んでいた炭谷俊樹氏を学長に招いた。1年間の検討を経て、2011年からICT技術を活用して課題解決に取り組む授業科目「探究実践演習」を開始するとともに、「人間力を有する高度ICT人材の育成」という教育目的のもとで、ビジネスソリューションとICT技術を有する人材を国際的な観点で養成することとした。専門職業人として高度IT技術者を考えると、活用されるシステムを作るには、ICT技術だけではなく、使い手の視点を持つことが必要となる。このことについて、「MBA保持者は企画を出すことは得意であるが、自分自身でシステムを作ることはできない。しかし、課題解決を実現するには、ICT技術を用いて企画を実現するシステムを自ら作り、自分のアイデアを検証できることが必要である。『探究実践演習』では、自分自身が研究する具体的課題を設定し、その現場に行く、調査をする、収支を見る、ビジネスとして創立期急成長期安定成長期成熟期コンピュータ総合学園職業教育高度化開発研究校名を「神戸電子専門学校」に改称情報化人材育成学科デジタルメディア研究室神戸情報大学院大学 開学50周年を迎える18歳人口2018年問題情報工学科情報ビジネス情報処理学科ITエキスパートITスペシャリストSEコースサウンドクリエイト声優サウンドテクニック建築インテリアデザインエンターテインメントソフトゲームソフト3DCGアニメーションサウンドアートSEコース一種受験コース情報処理学科電子計算科電子計算科情報処理学科CGコースCADコース一種受験コース情報処理学科サウンドテクニックSEコース電子計算科インダストリアルデザインデジタルアニメ差別化戦略変化を恐れず未来を主体的に切り開く教育 2018年問題への対処60周年を迎える転換期ゲームソフトコースグラフィックデザイン図表2 コンピュータ総合学園ブランド成長ステージ

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