カレッジマネジメント203号
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45リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017た。この現状に危機感を抱き、産婦人科医と話したところ、「待っていた、全面協力する」との声を頂き、今では毎年10月中には定員が埋まってしまいます。定員のうち半数以上は大学を卒業した学生です。在学中に医師の力を借りず正常分娩を10例経験することを厚生労働省が義務づけているのですが、出産数が低いなか、これをクリアするのは大変です。このことからも、定員30名は大きな規模だと言えます。2017年4月ユマニテク短期大学を開学近年、幼児保育の教員の確保がとても厳しい現状を受け、保育者の養成校を専門学校として設置するつもりで進めていました。ところが、これからは幼保一体化の動きのなかで認定こども園が増設されていくため、幼稚園教諭の資格も必要になる。専門学校では保育士の資格しか取得できないので、短大の通信制と併修しなければならず、非常に不合理だというものでした。こうして2017年4月、三重県四日市市に「幼稚園教諭」と「保育士」のWライセンスを取得することができる幼児保育学科を持つ、ユマニテク短期大学を開学することとなりました。ユマニテク短期大学の「ユマニテク」とは、「豊かな人間性と確かな技術」という私どもの教育理念であります。ユマニテクとは、ユマニテ×テクニークで、フランス語のユマニテ(人間性)とテクニーク(技術)をあわせた造語です。人間性を育みながら、専門的な技術を身につける人材育成を目指しています。幼児教育の現場では、慢性的に人材が不足しています。離職率の高さが理由です。子どもの教育には準備が不可欠なので、家に帰っても休む暇がないうえに、給与などの待遇が悪いことが背景にあります。そして三重県には、隣の愛知県で保育士が足りていないという問題があります。愛知県には幼児保育系の大学、短大が多いにも拘わらず、現場では人材が不足しています。そのため、三重県の子ども達が、愛知県へ滔々と流れていってしまう。その状況は改善されていません。短大ができたからといって、地元に定着してもらわないと、三重県で人材が充足できるわけではないのです。大学としては、地域との関係性を強めて、この三重県の抱える課題を少しでも解決するため、アクセスを示さないといけないと思っています。大学化や外国人受け入れも視野に将来的には、短大から、大学または2019年に導入予定の「職業教育に特化した新しい高等教育機関」への移行も視野に入れています。今回の短大は、幼児保育学科の1学科、定員100名でスタートします。全学で200名の短期大学というのは、存立としてギリギリの規模であり、必然的に拡大していかなければいけません。今ある分野を、大学か、新しい学校種か、どちらにふさわしいかを選択していくことが、学園全体の課題にもなります。今後も、この地域で不足している様々な人材ニーズに応えていきます。一方で、大学のない地域に住む生徒のニーズに応えるための通信制を2年後には申請したいと考えています。またこれまでは、三重県と愛知県に限る狭域型の学生募集を展開していましたが、今回、中域型に大きな方針転換をしました。さらに、これまで外国人は受け入れていませんでしたが、学園全体で10%までの受け入れを開始します。具体的には、日本語が第一外国語にもなったベトナムや、インドネシアの日本語学校に募集を行っています。今のところ、日本語学校が成立している国に限っていますが、数年以内に四日市市に日本語学校を作る予定です。日本語の力が十分についていない学生を受け入れると、入学後のフォローは必須となります。これは方針転換に伴い自動的に起こっていくことなので、語学学校や寮などの整備が必要だと考えています。そしてこれらの国で募集広報を展開することで、どの分野に人が足りなくなっているかも分かり、新しい次の学校が発生しうるだろうと予測しています。

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