カレッジマネジメント204号
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23で重視することとした。内部質保証のあり方次に、第3期認証評価の改革の中心をなす内部質保証のあり方について見ていきたい。①大学基準における位置づけ第2期における大学基準では、「内部質保証」を基準10に位置づけていたが、第3期の新大学基準では、内部質保証を基準2に位置づけてその重要性をより強調した。②内部質保証の定義内部質保証について、「PDCAサイクル等を適切に機能させることによって、質の向上を図り、教育・学習等が適切な水準にあることを大学自らの責任で説明・証明していく学内の恒常的・継続的プロセス」と大学基準上、定義した。③内部質保証の構築内部質保証の構築に当たり、まずその推進に責任を負う全学的組織(以下、「全学推進組織」という)の整備及び内部質保証のための全学的な方針と手続きの策定が必要である。全学推進組織の役割としては、各学部等のPDCAが適切に展開されるよう、必要な運営等を行うことである。ただ、3つの方針に基づく教育を実施する主体は学部等であることに鑑みれば、全学推進組織は、学部等の自主性を尊重しつつ、学部等が大学の理念・目的に則した教育活動が展開できるようマネジメントしていくことが必要である。また、内部質保証の全学的方針・手続きとして、内部質保証に関する大学の基本的な考え方、全学推進組織の権限と役割、全学推進組織と学部等との役割分担、教育のPDCAのため枠組みを定めることが必要である。④教育活動の検証学部等は、定期的に自らの教育プログラムについて検証しなければならない。その際、単に学内関係者だけで検証するだけでなく、客観性・妥当性を高めるために、そこに学外関係者の目を入れることも重要である。また、こうした検証結果を、明確な行動計画を伴った教育の改善・改革に連動させる必要がある。⑤内部質保証システム自体の検証各学部等のPDCAが有効に機能するための全学推進組織の支援・運営状況、その効果と課題等についても検証が必要である。第3期認証評価における自己点検・評価の実施方法第3期認証評価から本協会は、全学的観点からの自己点検・評価を求めることとした。具体的には、各学部等の教育プログラムの自己点検・評価の実施を前提に、学部等の教育活動を執行部がどのように捉え、改善に関与しているかを評価するものである。今後に向けて第3期認証評価から内部質保証をより一層重視することとしたが、内部質保証の究極の目的は、学生の学びの成長である。内部質保証システムは、認証評価を受けるために構築するのではなく、この目的の実現の手段であることを理解しなければならない。本協会は、各大学の学生の学びの成長に、評価を通じて少しでも貢献できればと考えている。リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017特集認証評価第3サイクルに向けて図2 内部質保証の仕組み(例)全学内部質保証推進組織大学全体の取組状況を常に把握しながら、部局に対して必要な指示を与え調整を図るなど、学内の取組を促進3つの方針に基づく教育活動、その検証及び改善・改革の一連のプロセスが適切に展開するよう運営検証結果を踏まえた改善・改革と情報公開3ポリシーの設定とそれに基づく学位プログラムの体系化教育活動、学習成果の検証学部、研究科その他の組織ポリシーに則した教育活動運営・支援

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