カレッジマネジメント204号
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27イン及び学校教育法施行規則の改正を見るまでもなく、会員校には浸透している。当協会で認証評価を受ける際の自己点検・評価報告書は、その作成マニュアルを通して査定(アセスメント)と改善を行うPDCAサイクルに基づいて記述できるようにしてあるので、マニュアルに従って自己点検・評価報告書を作成すれば、評価校の教育の質保証が図れるようになっている。ただ残念なことに、自己点検・評価報告書の作成が不十分で再提出を求める評価校があったことは課題である。第3サイクルに向けての考え方や方向性と具体的な変更のポイントACCJCの基準とその評価水準を維持し国際通用性の確保を第一に据え、一層の真摯な自己点検・評価を行うため、公共性の確保、学習成果の可視化、単位の実質化、CAP制、地域社会との連携について整備するとともに、平成28年3月18日中央教育審議会大学分科会「認証評価制度の充実に向けて」(審議まとめ)を受けて、学習成果を焦点にした査定(アセスメント)による向上・充実を日常的に図るという内部質保証の仕組みを、重点評価項目として設定した。また、三つの方針について、「学習成果」を獲得させるために一貫性・整合性があるものとして策定され、具体化されているかについての評価も取り入れた。さらに、自己点検・評価の過程において高等学校等の関係者の意見を取り入れているかについての評価も行うようにした。また、第2サイクルにおける選択的評価(「教養教育」「職業教育」「地域貢献」)は、全ての短期大学において積極的に取り組む事項であることから、4基準の中に取り入れた。平成29年4月から施行となっている短期大学設置基準の改正に伴うSD研修の義務化については、第2サイクルにおいて取り入れている。評価判定については、「適格」「不適格」の判定が4基準によることを明確にした。特に「適格」の判定において、4基準を満たしているが一部に問題が認められた場合は、「改善意見」を付し、その対応を求め、フォローアップを行うことにした。「保留」の判定の場合、「再評価」を受けることになるが、その判定は「適格」「不適格」のいずれかとし、再度「保留」とする判定はしない。「評価の中断」及び「評価の中止」の措置は廃止し、「保留」の判定で扱うこととした。各短期大学に求められること短期大学は、二年制または三年制の大学で、公立17校、私立326校と総数の95.0%が私立であり、大都市以外の地方中小都市(人口30万人未満の都市での立地が多い)にも幅広く設置されている。特に学生の89.2%が女子であり、1950年の発足から女性の高等教育と社会進出に大きく寄与してきた。教育課程の編成は、職業に関係する免許や資格を取得した人材養成を目的とした「教養と専門」の教育をコアとする学習成果を獲得させるものが多く、卒業後の進路は6割以上の学生が国家資格・免許を有する専門職者(幼稚園教諭・小学校教諭・司書・保育士・栄養士等)となる。四年制の大学と比較して、少人数教育・担任制度等によりきめ細かい学生支援を行っていることも特徴であり、エンロールメントでは、自県内入学率が67.8%と四年制大学と比べて地域に根ざしており、特に地方においては自県内入学率が一層高い傾向である。また、自県内就職率も72.2%と高い。このように短期大学は、地方の、特に女子の高等教育の振興に努め、地方発展の人材育成を担っており、今後も地方創生のための多様な教育展開と教育の質保証が求められる。今後の課題等平成31年度から学校教育法第1条の大学に、“実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関”が、専門職大学・専門職短期大学として制度化されることになる。これまでの高等教育が大きく変容する過程にあることは間違いなく、21世紀の知識基盤社会に求められる高等教育と、経済・産業界と連携させる高等教育を両立させようとする仕組みである。専門職短期大学の設置基準は現時点では明らかではないが、卒業した者に対して短期大学士相当の学位が授与されるのであるから、当協会における認証評価に応えられる高等教育機関になることは間違いない。専門職短期大学が「短期大学」である以上、当協会の評価の対象となり得るので、その動向に注視したい。リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017区 分平成24年度平成25年度平成26年度平成27年度平成28年度会員短期大学数323316310301299評価校数3342574764適格3141564461条件付き適格2133保留1評価員数143186241203255特集認証評価第3サイクルに向けて図表2 第2サイクルの評価校数等(注)第1サイクルの再評価を除く

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