カレッジマネジメント204号
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左 のエース  ボールを使った格闘技。ハンドボールという競技の特性を表した言葉だ。ゴール前での激しい体のぶつかり合い。至近距離から放たれる高速シュート。見ているよりもはるかに激しいスポーツだ。全日本学生ハンドボール選手権大会において2014年には35年連続36回目の出場で、悲願の初優勝を成し遂げた強豪校だ。総勢50名もの部員を率いるのが主将の坂元孝一さん。坂元さんは、小学校4年生の時からハンドボールを始め、中学・高校・大学と、長きにわたって取り組んできた。「鹿児島の小学生だった頃、日本リーグ・実業団の試合を見た時の強い衝撃。そして、鹿児島出身の実業団プレイヤーがまだまだ少なく、ならば、将来は自分が実業団で活躍できる選手になりたいという想いで、ここまで続けてきたのだと思います」。そう語る坂元さんは、主将になった今、掲げている目標があるという。「試合に出られるのは7名のプレイヤーですが、試合には出場しないものの、様々なサポートをこなし、全力で応援してくれる他の選手や大変な業務を遂行してくれるマネジャー達と共に、一丸となって『全員で戦うチーム』にしたいと考えています」。全国の強豪高校から集まった選手のモチベーションをどのように維持し、向上させていくかという課題や全員でやることの意味に重点を置いているという。「部活だけを一生懸命にやっていてもダメです。まずは基本となる学生生活をしっかりやること。ですから、授業への出席状況や単位取得についての情報もしっかりと把握し、学業がおろそかになる前に、先輩が指導していくのが伝統です」。こうした面にも強さの理由がある。坂元さんのポジションであるレフトバックには「左45°」と呼ばれるエースの称号がある。たとえ、試合では自分がエースポジションで戦おうとも、心は常に全員で戦っている。こうした全員の想いを大切にする「左45°のエース」率いるチームが、常勝軍団の歴史をまた一歩、前進させてくれることだろう。  (写真・文/西山俊哉)45°坂元孝一 さん(工学部 機械工学科4年)学生のリーダー中部大学 ハンドボール部当代当代Vol.66

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