カレッジマネジメント205号
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31いずれの学部・学科も、複眼的な視野を持つ人材の育成をミッションに掲げているところに共通性がある。学部学科名称から得られるイメージを超え、時代を先取りする鋭敏な感応性でもって学部学科を構想したことが分かる。このような特色を持つ新学部・学科の設置意図が受験生に伝わったのだろうか。図表1に見るように、2014年から2016年まで概ね増加傾向にあった志願者であるが、2017年は一挙に1万5000人も増加した。まずまずの滑り出しである。グローバルへ舵を切るやや後発と思えた「国際」関連学部の設置ではあるが、実は用意周到な計画があってのことだと、竹村牧男学長は話される。国際地域学部が設置されたのは1997年。当初の板倉キャンパスから、2009年には白山第2キャンパスへ、2013年には白山キャンパスへと修学の場を移しつつ、2017年からの国際学部、国際観光学部に再編されたという。さらに遡れば、1963年に開設された短期大学観光学科にたどりつく。古くから「国際」も「観光」も存在しており、その発展型として現在があるのだ。そして、この国際地域学部が、結果的には東洋大学全体の国際化を牽引した。2012年、創立125周年を迎えた東洋大学は、国際化を大学全体のミッションに掲げる。建学の精神である「哲学教育」、時代の要請に応える「国際化」、学生の自立のための「キャリア教育」の3つの柱を教育目標に掲げ、「国際化」を明確に意図した教育へと舵を切り始めた。幸運にもこの年、国際地域学部は文部科学省の「グローバル人材育成推進事業」に採択された。国際地域学部の教育が、国際化やグローバル人材育成という点で内実を伴うものであることが明らかになったのである。続いて2014年には、「スーパーグローバル大学創成支援(以下、SGU) タイプB」に採択された。当時のメディアに大きく取り上げられたものだが、タイプBは、93件の申請数に対して24件が採択されたにすぎず、狭き門であった。これら事業の構想に関しては、既に本誌193号(2015年7-8月号)に記載されているので、そちらをご参照されたい。重要なのは、その後、これらの事業の構想調書に記された計画を1つひとつクリアして現段階に至っていることである。往々にして華々しく見える計画を作成し、そリクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 201702000040000600008000010000002000400060008000100001200014000160001800020000総合情報理工食環境科生命科ライフデザイン第1部 計情報連携国際観光国際国際地域社会法経営経済文(人)(人)200620072008200920102011201220132014201520162017(年)図表1 近年の志願者数と入学定員数推移特集 学部・学科トレンド2017

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