カレッジマネジメント205号
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40リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017部至近に移転し、美術館と併せてキャンパス内に芸術エリアが設けられた。 理工系学部も、2学部を3学部に再編した(図表2)。読者諸氏のなかには詳しい方もおられるだろうが、九州には食品関係の工場・メーカーが多い。新設の生命科学部(生命科学科食品科学コース)では、食品科学を学べるようにしている。新しい食品の開発にとどまらず、食品の製造プラントを作り、実際に作ることまで行う。生産管理の技術も学ぶ。2017年秋には実習用製造プラントが完成の予定であり、教育環境が調う。また、工学部の一部の学科が、建築都市工学部として再編された。「ニーズの点から…」と山本学長は語り起こしてくれた。九州産業大学を卒業した学生達が就職するような地元の企業では、建築も土木も分け隔てず受注するところも多い。そのため、双方を学んで身につけた技術者でなければ、実は活躍もできない。だから、「両方学べるようなカリキュラムを作っている。住居から国土、空間まで全てを学べる体制を作った」と山本学長は話す。教育、研究と並んで、大学のミッションの一つに地域貢献が謳われるようになって久しい。しかしながら、出口を見据えて学生を教育することこそがまたとない地域貢献であるというのが、これらの再編に表れている。組織改革と軌を一にする教育改革入れ物としての組織の改革は、当然のことながら、そこに入れるものである教育そのものの改革を伴ってこそ、その真価を発揮する。九州産業大学はその学部構成を大きく変えたが、新たな専門教育を載せる土台はどうなのだろうか。どの学部を出ようと、どの分野を学んでも、その大学の卒業生として最低限身に付けるべき共通のものが本当はなければいけないのではないか。2014年度からは、全学部共通の基礎教育の仕組みである、「KSU基盤教育」がスタートした。導入以前は、学部ごとに行われていた低年次の教養の授業が、全学で統一の枠組みに則って行われるようになった。専門基礎科目、基礎教育科目、外国語科目など、計52単位がKSU基盤教育に割り当てられている。KSU基盤教育は、一気呵成にというよりも、取組の現状を検証し、今もなお改善に取り組んでいる。直近の成果は、同一名称授業、複数開講科目におけるシラバスの統一である。巨大な総合大学で全学共通の枠組みを実現していくことは、言うは易く行うは難いものの一つであろう。シラバス 図表2 理工系学部の再編 図表3 志願者数の推移(人)200710000800084548084759475027301703682307814780483431035960004000200002008200920102011201220132014201520162017(年度)芸術系文系理工系6103590155485274504746255231499449865263620017241627151017721803200425352389238923783497627556536456454407464431429702662『全学共通英語教育』導入『KSU基盤教育』導入『教育改革の考え方』及び『教育の目標』策定《教育改革へ着手》2005年度以来12年ぶりの1万人超理工系学部再編芸術学部再編大学全体現行(入学定員:685名)新体制(入学定員:680名)2学部8学科から3学部7学科へ2017年4月情報科学部情報科学科理工学部情報科学科機械工学科電気工学科建築都市工学部建築学科住居・インテリア学科都市デザイン工学科工学部機械工学科バイオロボティクス学科電気情報工学科物質生命化学科建築学科住居・インテリア設計学科都市基盤デザイン工学科生命科学部生命科学科生命科学コース食品科学コース応用化学コース

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